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ヤクルトの危機に思う。最後に生きるのは昨年険しい山を登り切った経験だ

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/08/24
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夏の甲子園、故郷を誇りに思う気持ち

 みなさん、こんにちは。東京ヤクルトスワローズ広報部の三輪正義です。

 夏も終盤になってきましたが、みなさんいかがお過ごしですか? 僕は夏休みをいただいて、地元・山口に帰りましたが、なんと地元は高校野球の話題でもちきり。スワローズ的には村上宗隆の弟、九州学院の4番・慶太くんが甲子園でベスト8まで勝ち上がり、話題となっていましたが、僕にとってはやはり山口県代表・下関国際高校の準優勝です。

 仕事の合間を縫って、ちょくちょく見ていたんですが、準々決勝で春夏連覇を狙い、優勝候補筆頭だった大阪桐蔭に5-4で勝利。9回表の鮮やかな逆転勝ちには、素直に胸を打たれました。僕の高校時代はそんなに強い高校ではなかったけど、今の坂原秀尚監督が来てから、メキメキと力をつけて2018年には夏の甲子園でベスト8。今回はそのベスト8を越えると意気込んでの戦いだったようです。

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 下関国際を苦しめた甲子園での大阪桐蔭、決勝で戦った、仙台育英との戦いは本当に見事でしたが、実は最も下関国際を苦しめたと個人的に思っているのは、なにを隠そう、僕の下関中央工時代の恩師・山崎康浩監督が指揮を執る南陽工。山口県大会準決勝で死闘を演じ、下関国際が4-3で辛くも勝利したんですよ。でも、甲子園の戦いは本当に素晴らしかった。下関国際のみなさんおめでとうございます!

決勝直前で大ケガ、不完全燃焼だった高3の夏

過ぎゆく夏に思いを馳せる筆者 ©三輪正義

 そんな僕の高校時代といえば3年の夏、下関中央工は決勝で宇部商に敗れて涙を飲んだことを思い出します。僕自身は準々決勝で送りバントをしたとき、体の近くに投げられたボールとバットの間に人差し指を挟んでしまってあわや骨折の大ケガ。決勝戦はパンパンに腫れた指を無理やりグラブにねじ込んで途中出場するも3-9で敗戦、不完全燃焼で夏が終わりました。あれがあったからこそ、そのあとも軟式野球をしてまで野球を続けようと思った、まさに自分の「原点」のような高3の夏でした。

 そして、下関国際のちょっと90年代のスワローズを彷彿とさせるユニフォーム、ネットでも「ヤクルトじゃん」って言われて親近感を感じていた人も多かったのではないでしょうか。やっぱり地元の高校が活躍すると誇らしい気持ちになりますよね。みなさんの地元の代表校はいかがでしたか?

一度歯車が狂うと立て直すのは大変

 そのユニフォームが似ている“元祖”のほうは先月から苦しい戦いが続いています。選手や首脳陣にコロナ感染者が出てからどうも調子があがりません。7月8日に大量離脱があってから6連敗と7連敗、2度の大型連敗があり、10勝20敗(8月23日現在)と苦しんでいます。

 僕も現役時代経験がありますが、毎日試合が行われるプロ野球って一度チームの歯車が狂うと立て直すのが難しいんです。今回は、主力が帰ってくれば、すぐに調子を取り戻すのかなと思っていたんですが、現実は厳しかった。

 7連敗がスタートした8月5日の巨人戦なんか、2点ビハインド、1点取って満塁。大量得点のチャンスに、相手の大胆な守備隊形に阻まれイケイケのムードが潰えてしまった。そうするとチームは「あれ? あれ?」っという雰囲気になって、リズムに乗っていけないことがあるんです。

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