ドラマや映画には、かなり疎い方だ。タイトルを言われても、それがどんな内容か、有名なものであってもほとんど分からない。

 ただ、印象的なタイトルで覚えているものもある。20代のころ、小説でも映画でもドラマでも、大ヒットした超有名作だ。

 世界の中心で、愛を叫ぶ。

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 略語の「セカチュー」は2004年、流行語大賞・トップテンを受賞した。

 いや、内容は知らない。見たことがないから。ただ、この記事を書くときになぜかこのタイトルが頭に浮かんだ。

 そう、私には記者室の中心で叫びたいことがあるのだ。(人見知りなのでそんなことは絶対にできないが)

 新人王は、西武の水上由伸に一票! と。

 書き出しで少し遊んでしまったが、ここからはまじめに書く。今回は西武ファンだけでなく、ソフトバンクのファンの方々にも読んでいただきたいです。

水上由伸

記者投票の「ジレンマ」

 レギュラーシーズンも各チームが100試合以上を消化し、いよいよ優勝争いが佳境に入ってきた。と同時に、気になるのがタイトル争いの行方だ。

 西武で言えば、山川穂高の3年ぶりの本塁打王は、ほぼ確実と言ってもいいだろう。優勝すれば、MVP(最優秀選手賞)はだれ? それを考えるのはもう少し先でいい。

 首位打者、最多勝、盗塁王など、純粋な成績で決まる様々なタイトルに加え、ベストナインやゴールデン・グラブ賞など記者投票で決まるものもある。その中で、1度しか取れないのが新人王である。

 水上は今季、主に勝ち試合の七回や八回を任される。52試合に登板して4勝3敗、28ホールド、1セーブ。防御率は1.26を誇る。文句なしの数字だ。

 では、なぜ、わざわざ「新人王は水上!」と叫びたいのか。

 理由の一つに、私なりに思う記者投票の「ジレンマ」がある。

「新人王」と言うくらいだから、まずイメージするのは「今年のルーキーたち」だ。おそらく、1年目の選手と2年目の選手が同じくらいの成績なら、1年目の選手に投票する記者が多いのではなかろうか。

 水上は2年目だ。しかも、昨季は29試合に登板している。「去年も結構投げてたよな」という印象を持っている人は多いだろう。

 ただ、新人王の規定には以下のようなものがある。

(1)支配下登録されて5年以内(2)前年までの1軍公式戦で、投手は登板が30イニング以内、打者は打席数が60以内。

 水上は昨季、27イニングにとどまった。つまり、資格を満たしているのだ。