ダルビッシュ加入で最強投手陣の完成か?
WBCで優勝したコーチ経験者が語る。
「打者と駆け引きしながら試合を組み立てていく力は日本投手ではピカイチ。大谷(エンゼルス)、佐々木(ロッテ)や山本(オリックス)にはない円熟味があります。WBCではそうした経験が必ず、チームの役に立つもの」
栗山監督も「経験した人にしか分からないノウハウや技術などのアドバイスが大きくなるのは間違いない」と“イズム”注入へ期待を込めた。大谷、佐々木、山本の先発陣にダルビッシュが加われば、強力な布陣となる。
さらに日本代表の吉井投手コーチが「(佐々木、大谷、ダルビッシュが)練習中にどんな話をするんやろうというのもすごい興味がありますね」と言うなど、卓越した理論を持つダルビッシュを触媒とし、大会中に各自が「レベルアップ」という化学反応を起こすことも見込める。
「ダルが入ることで若手、中堅、ベテランのバランスが整います。去年の東京五輪での田中(楽天)のように精神的支柱としての期待も高く、招集に成功すれば史上最強の先発陣の整備も夢ではありません」(前出の元WBCコーチ)
3大会ぶりの覇権奪回へ、栗山監督には是が非でも欲しい戦力なのだ。
現役続行は「95%ない」→「未確定」
19年の開幕前、ダルビッシュは一部紙上で「人生そんなに長くない」などと語り、今の6年契約最終年となる23年限りでユニホームを脱ぐとした。その後も現役続行する可能性は「95%ない」というのが当時の心境だった。
しかし今年5月、メジャー評論家が紙上のコラムで23年限りでの引退を前提にした記事を掲載すると、「まだ確定していません」と先走る報道を牽制した。ラジオ配信アプリでも「(WBCに出て)大きなケガになったら年齢的にも(契約終了後)マイナー契約しかない可能性も高い」と間接的に現役続行の意思があることを示唆した。
「はじめから(引退の)願望を口にしていただけで、どこまで現実味があったかは定かではありません。200勝が見えてきた今、その時期が近づいてきて軌道修正する必要があったのでしょう」(元日本ハム関係者)
日本ハム時代を共に過ごした、この元関係者が推察する。
「今季のシャーザー(メッツ)のように高齢でも長期契約を望まなければ十分、メジャーでも需要はあります。ただ、本人がメジャーでやりたいと思っているかどうか。最後は、広島に復帰した黒田のように、日本ハムで200勝に挑戦するプランも選択肢にあるのではないでしょうか」