8月12日、格安ステーキ店「いきなり!ステーキ」などを運営するペッパーフードサービスは、創業者の一瀬邦夫社長が辞任することを発表した。同社は近年、業績不振にあえいでおり、同日に発表された2022年12月期の業績予想では最終損益を10億9000万円の赤字としていた。業績不振の裏で何が起こっていたのか——。「週刊文春」の記事を再公開する(初出:2022年2月10日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)。

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 ステーキ専門店「いきなり!ステーキ」の商標権が、運営会社のペッパーフードサービスから取引先企業に“担保”として移転されていたことが「週刊文春」の取材でわかった。

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 2013年に1号店をオープンした「いきなり!ステーキ」は、手頃な厚切りステーキで人気を集め、2019年には全国に約500店舗を展開した。

©共同通信社

「しかし過剰出店や、営業スタイルを真似た同業他社が続々と現れたこともあり、ペッパーフードサービスは2019年12月期に赤字に転落。この2年で不採算店舗の撤退を加速させ、現在は国内223店舗となっています」(業界アナリスト)

 特許庁が運営する検索サイトで確認したところ、商標権「いきなりステーキ」の移転登録が2020年8月31日に「譲渡」目的で申請され、10月9日に移転が完了している。

「譲渡」の相手先は一部上場の大手食品会社で、ペッパーフードの大口仕入れ先の「エスフーズ」。さらに商標権移転の直前、エスフーズの村上真之助社長が個人で20億円もの資金をペッパーフードに貸し付けたことが発表されている。

16年から19年までに店舗数は4倍に ©共同通信社

 なぜ商標権が移されたのか。ペッパーフードに聞いたところ、

「エスフーズさんに対する買掛債務の『担保』です。別途、そうした形で契約を結んでおり、本当に『譲渡』したわけではありません」(総務部)と回答。

 ペッパーフードの一瀬邦夫社長を直撃すると、次のように答えた。