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「症状が“痛み”の時は胃などの上部消化管の異常、“重い”と感じるとき、特に症状に“波”があるときは胃炎もありますが、大腸などの下部消化管で起きていることが多いんです。

 上部の時は胃酸過多、下部なら便通コントロールの不調から疑っていくことになる。ちなみに“胴体の真ん中(みぞおち)”が痛むときは逆流性食道炎が候補に挙がってきますね」

“胃腸の具合が良くない…”ときの医療機関に行く目安は「2~3日で回復するかどうか」

 K氏は「重い」と主張するが、自分で「胃の症状」と断定しているので、今回は胃を中心とする上部消化管について解説してもらった。

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「食べ過ぎや飲み過ぎ、ストレス、気候の変化、食事内容の激変などで胃が痛くなるのは、おなかの血流が悪くなることと胃酸が多く出過ぎることによるもの。早い話が急性胃炎です。

 この状態の時に内視鏡で胃の中を覗くと、胃の出口(幽門部)から十二指腸にかけて荒れていることが多い。こうなると胃の動きが悪くなって胃の中に食べたものが滞留して胃が重くなったり、ひどい時には吐き気を催すことになるんです」

 大久保医師によると、感染性の急性胃炎なら2~3日で症状(発熱や吐き気)は消えていくので、その間は“様子見”でいいとのこと。逆に2~3日経っても改善しない、あるいは悪化するようなら躊躇せずに医療機関を受診することを推奨する。

山王病院副院長で消化器内科部長の大久保政雄医師

 ただ、K氏のように「胃が重い」と訴える人もいるという。多くは胃酸による炎症であることが多いが、もう一つ考えなければならない原因として“胆汁”の問題があるという。

 胆汁は肝臓で作られて胆のうという袋に貯められている強力な消化液。肉などを食べると、これが十二指腸に出てきて脂肪を消化してくれるという重要な液体なのだが、これが胃や食道に逆流してくると炎症を引き起こすことになる。

 大久保医師によると大食漢の人に胆汁の逆流が起きる傾向が見られるとのこと。食事回数が少ない人や便秘の人に併発することも多いという。

「ああ僕はこれですね。まさにこれだ。間違いない!」

 またもや勝手に決めつけて一人納得しているK氏をよそに、大久保医師は解説を続ける。

「肉や、バターリッチのお菓子など“脂肪の摂取”を控えめにして、胃酸を抑える薬を使ってもなお胃の症状が治まらないときは胆汁が悪さをしていることを疑います。この場合、胆汁が貯留すると胆石ができて危険なので、下(大腸側)に流して排泄させる薬を使います」

 同医師によると、運動不足も便秘傾向となるため、胆汁の逆流を招くリスクを高めるとのこと。ステイホームで運動量が激減している昨今、それが原因と思われる症状に悩む人が激増しているという。

 人間とて動物である以上、つねに動き回ることを想定して体はできている。K氏もちょこまか動き回れば、立ちどころに胃の問題も解決するような気がするのだが……。

おかゆ?うどん?ワンパターンになりがちな「胃の不調時には何を食べればいいのか」問題

 ということで、K氏にはなるべく早めに胃の内視鏡検査を受けることをお勧めして、もう一つの議題である「胃の不調時には何を食べればいいのか」に話題を移す。