命を扱っているにもかかわらず、教育現場で動物を飼育することについて明確なルールが設けられていないため、学校によっては世話が行き届いていなかったり適切な環境が用意されていないことも少なくない。動物たちが小屋の中で餓死していたり共食いしていたり、あるいは熱中症死や凍死するケースもあるという。私が小学生だった頃にも、台風の翌日、金網の中で雨ざらしになって死んでいるウサギやインコを見たことがあったが、今になってもそのショッキングな光景は忘れることができない。
こうした動物虐待とも言うべき「命を慈しむ教育」のしわ寄せは、すべて教員に「一任」という形で大きくのしかかっている。
教育が貧しくなっている?
教員の「過労死ライン」を超える時間外労働が当たり前のように横行している現実を鑑みれば、早急に問題を解消する必要がある。例えば「ブラック部活」とも呼ばれる放課後や土日、長期休暇に行われる部活動の指導業務のほか、動物の世話などの雑務を外注するなりしなくてはならないが、特に公立の学校では「経済的な事情で」実現が厳しい、というのが現状である。
つくづく、子供の教育や働く世代に金を割かない国だと思う。使い潰されることがわかっていてわざわざ教員を志す若者がいなくなるのは当然のことなのに、てこ入れを行わずに「なぜか教員が増えない」と言い続け、やりがい搾取とも言える働き方を強要している。
かつて、少なくとも私が学生だった頃には「将来の夢が学校の先生だ」という生徒が他の職業に比べて圧倒的に多かった。子供の頃からの夢を叶えた同窓生たちの中には、過酷な労働環境に耐えかねて志半ばで教員を辞めてしまった人も少なくない。ストレスのはけ口に、生徒に虐めを行なっていた教員のニュースを耳にすることも、決して珍しくない。
学校を子供にとって安全な場所として機能させるためにも、慢性的な教員不足が解消され、教員の働き方が根本から是正されることを強く願っている。