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『スペランカー』は10万円、『エキサイティングボクシング』は数十万円、その他のファミコンソフトは…? “意外な作品”が高騰するレトロゲームの世界

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傷だらけのカセットが5万円前後でやり取りされることも……!

ギミック(1992年発売)/5000円(なし)→1万円→10万円

 ファミコン高騰ソフトの3トップと言われているうちの一本が、この『ギミック』です(他のタイトルは『サマーカーニバル’92 烈火』[後述]と『バトルフォーミュラ』)。

ファミコン高騰ソフトの3トップと言われているうちの一本である『ギミック』

 高騰した理由としては、ファミコンの後期発売、つまりスーパーファミコンが主流になっていただけに販売本数が少ない“隠れた名作”となっていたこと。発売当時は大きく取り上げられず、埋もれてしまっていたタイトルが、近年のレトロゲームブームで見直され、ニーズが高まった結果、価格が高騰したというわけです。

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『ギミック』は長きにわたる開発期間と、専用のサウンドチップを使用するなど、ゲームのクオリティが高く、発売時期がもう少し早ければ、あの『星のカービィ』すら超える名作になったのではないかと言われることも珍しくない一作。そのため、国外からの需要も高く、海外にソフトが流れていくため、国内価格の高騰が著しいといった背景もあります。

抜けた印象のあるデザインだがゲームの出来は優秀だった

 これほど需要の高いゲームになってくると、傷だらけのカセットのみ、また説明書のみ、箱のみでも数万円します。こうしたニーズに応えるかたちで、ホビー通販ショップ「駿河屋」では、箱のみ、説明書のみの販売も行われています。

サマーカーニバル’92 烈火(1992年発売)/5000円(2000円)→数万円→10万円~数十万円

 1990年前後には、ゲームの開発会社が大会を主催し、そこで使用するゲームを“正式タイトル”として発売するというマーケティングが頻繁に行われていました。本作『サマーカーニバル’92 烈火』も、発売元のナグザットが行った全国規模の大会「サマーカーニバル」92年度の正式タイトルとして開発された一作です。

ゲーム会社が積極的に売り出していた『サマーカーニバル’92 烈火』だが……

 そのように積極的に売り出されていたにもかかわらず、価格が高騰している。つまり、それだけ大会への参加者は少なかったわけです……。結果的に『サマーカーニバル’92 烈火』は、ファミコンの市販品として最も高額なソフトとしてファンの間で有名な作品になりました。

売上は芳しくなく、ファミコンの市販品として最も高額なソフトとして有名に

 そんな悲しい歴史を持つ本作ですが、現在では、コレクターたちの間で買い控えが起きてしまっているのです。その理由は、箱や説明書までも精巧な偽物が登場してきたこと。骨董的価値のあるソフトは、時が経るにつれてどんどん値段が上がっていく傾向にありますが、本物と区別がつかないほど精巧な偽物が出てくると、コレクターからの注目度も落ち着いてしまうわけです。とはいえ、その人気は健在で現在も高額販売が行われています。

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