4月といえば新しい学校への入学の季節です。特に初めて本格的な「教育」に触れることになる小学校への入学は、人生の中でも大きな1ページ。今年も多くの子どもたちが期待を胸に新天地へ入学していったことでしょう。
そしてそんな時、昔から学習のおともになってきたのが児童学習雑誌の存在です。
中でも雑誌についている「付録」の存在は、いつの時代も子どもにとって興味深いものではないでしょうか。特に近年は、その豪華さや技術力の高さがSNSを中心に話題になることも多いです。そこで、もうすぐ創刊100周年を迎える老舗雑誌「小学一年生」にお願いして、歴代付録から興味深いものをピックアップしてもらいました。
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1960年代後半にキャラクター付録が出現した理由は…?
「『小学一年生』は今年で創刊97年目を迎えます。実は付録そのものはかなり初期の頃からついていたんですが、1960年代の後半からいわゆる“キャラクター”をモチーフにしたものが目立ってきたんです」
そう解説してくれたのは、元「小学一年生」編集長で、現在は小学館の第二児童学習局でドラえもんルーム室長を務める松井聡さんだ。
「一般家庭にテレビが普及して、『小学一年生がみんな知っているキャラクター』が登場し始めたことが理由です。その草分けになったのが60年代後半のオバQやおそ松くん、70年代のウルトラマンやドラえもんでした。結果的にそのあたりから児童学習雑誌の付録は、そのときに流行っているキャラクターを起用することで、読者の注目を集める形になっていったんです」(※以下、解説は松井さんのもの)
「この付録は一言で言えば『輪投げ』なんですが、平面の紙に設計図が書かれたものを、説明の通りに順序良く組み上げないと完成しない。『説明を読んで、順番に作らないとできない』ということを学ぶことで論理的思考を養っているんです。学習雑誌の付録の意義はそういうところにあり、その要素は現在の付録にも受け継がれています。また、輪投げの点数計算をすることで、足し算の学習もできるようになっています」
70年代の後半には、この時期特有のちょっと珍しい付録もあった。それが、実在の人物をモチーフにした付録だ。
「当時は今以上に『国民的』と言えるヒーロー、ヒロインがいたんです。本当に日本中の子どもなら誰もが知っているスターですね。野球の王貞治選手や、歌手のピンクレディーなどは『小一』でも付録に使わせてもらっています。この『王選手ホームランゲーム』も、読者が自分で組み立てて作る必要がある。遊び方はシンプルですけど、結構、工程は多いですね」