昭和後期、男子も女子もクラスの大半が持っていた任天堂ファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)。近年このファミコンソフトに、骨董的美術的価値がつき始めています。
高騰し続けるレトロゲームの現状
ブームの勢いは凄まじく、ソフトが大量に製造販売され、市場に溢れかえったため、人気がなかったソフトは100円、480円、980円、1980円といった価格で叩き売られていたり、場合によっては「ご自由にお取りください」とされたりすることもあったファミコンソフト。にもかかわらず、現在となっては、数万円ほどで取引されるソフトは当たり前、数百万円のものさえあるのです。
2021年には、なんと海外で新品・美品の「スーパーマリオ64」ソフトが156万ドル(約1億7000万円)で売れたこともありました。これはオークションという特殊な環境による高騰ともいえますが、一般市場もこうした高騰の傾向が出てきています。
それでは、具体的にどんなソフトが、どんな理由で注目を集めているのでしょうか。
※発売年は日本での発売日を参照
※価格目安はレトロゲームの大手販売店「スーパーポテト」での近年の箱付き並品販売価格を参照
※価格遷移はおおよその発売当時定価(ワゴン価格)→2010年時点の価格→近年の価格の順
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スペランカー(1985年発売)/5000円(なし)→5000円→2~10万円
※スペランカーは並品でオバケPOPがあることはまずないので、状態の良いものを基準に価格を算出
ゲームに関心のある人なら誰でも知っていて、アプリや新作も出ている、いわゆる即死系ゲーム(クソゲーと言われることも……)として有名なゲーム『スペランカー』も高騰しているソフトの一本。
『スペランカー』は、ジャケットが特殊な仕様となっていました。下の写真のように切り取り線があるおばけのポップが付いているのです。
子供は、ファミコンの箱や説明書は雑に扱うのが当たり前でしたし、切って下さいと言わんばかりのポップ。それだけに、このポップが残っているものは希少価値が高い! おばけポップ付き完品美品なら4、5万円ほどで販売されています。
また、発売元「アイレム」の初期ゲームは、カセットのランプが赤く光るダイオード仕様が有名なのですが、後期の『スペランカー』にはダイオードなしのものが存在します。ダイオードなし、かつ、おばけポップが残っている状態のものは、現在数十万円で取引されています。