名誉権侵害について
〈名誉権侵害を理由として、公表された記事の削除を求めるためには、削除が以後の流通を止めるものであることに鑑み、(1)当該記事の摘示事実又は意見ないし論評の前提事実が真実ではないこと、(2)当該記事が公共の利害に関する事項に係るものではないこと、(3)被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被るおそれがあることを要すると解するのが相当である。しかし、本件記事の内容が真実であると一応認められること、本件記事が公共の利害に関わる事項であることは、いずれも前記2(プライバシー侵害について)で述べたとおりである。
したがって、本件記事が債権者の社会的評価を低下させる内容のものであるとしても、名誉権侵害を理由とする本件記事の削除請求には理由がない。〉
決定文の結論にはこう記された。
〈以上のとおりであるから、本件申立ては被保全権利の疎明を欠き、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。
よって、本件申立てを却下することとして、主文のとおり決定する。〉
このようにして、逸見会長の申立てはすべて却下され、申立費用も逸見会長の負担となった。
株主や投資家はどのような関心を示すのか
システナは役員、従業員の「行動規範」として「法令を守ることはもちろん、社会常識や倫理的観点に照らして、正しい行動を行います」、「本行動規範を通じて(中略)企業の責任を確実に全うすることで私たちを取り巻く全てのステークホルダーに対し責任を果たしていきます」と謳っている。
上場企業の代表取締役の不貞行為が、株主や機関投資家・一般投資家、その他の社会公共の重大な関心事との判断が示されたことは、今後の経営者の振る舞いに影響を与えそうだ。また、今回の申立てで、"不倫"は「経営能力等には全く関係のない私的領域内での事柄」と主張した逸見氏。それは本当なのだろうか。
8月23日(火)12時配信の「週刊文春 電子版」および「週刊文春」8月24日(水)発売号では、取締役が"パパ活"の手伝いをさせていた疑惑や、システナの常勤監査役の発言などについて報じる。
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