昭和女子大学の理事長・総長で、300万部のベストセラー『女性の品格』の著者である坂東眞理子氏。そんな坂東氏が2022年6月30日に新著『女性の覚悟』(主婦の友社)を上梓した。
坂東氏は同書の中で「人生100年時代に50歳前後の女性がどう生きるのか。その大前提はひとりひとりの女性が『覚悟』を持つこと」としている。自分の人生に責任を持ち、1日1日を丁寧に暮らすことが、「覚悟」を持つことにつながるそうだ。
ここからは、『女性の覚悟』からさらに一部を抜粋して、50歳前後の女性が豊かに過ごすための内面の美の磨き方を紹介する。(全2回の1回目/2回目に続く)
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女性の内面の美、外見の美とは?
女性の内面の美、外見の美とは何でしょうか。
50歳近くになると女性は「おばさん」「おばあさん」になって女性の魅力がなくなると思われてきました。それにはならじ、とメイクアップやエステに力を入れ、年齢不詳の美魔女も増えていますが、それは少数派。多くの女性は、忍び寄る「見た目」の衰えを気にし、自信を失っていきます。
だから年齢を重ねた女性は外面の美ではなく内面の美を目指しましょうといわれます。でもいくら内面が美しくてもそれは外からは見えない、他人は外面でしか評価しない。外面がきれいな人は好感を持たれ、有利だけれど、外面が平凡な女性は損だ。女優やタレントだけでなく、政治家だって、経営者だって、アスリートだって、科学者だって美人なら注目され成功する。
特に歳を重ねると、見た目が生き生きしてきれいな人はまだ若くて活力があると思われいろんなお声もかかりますが、肌が衰えて小じわやシミが目立ち、ぜい肉がついてくるといろんな意味で「終わった人」とみなされ軽んじられます。
昭和女子大学の学生に女性が自信を持つリーダーシップを身につけるためにはどうすればよいか、とグループで提案してもらったら「メイクアップが上手にできることだ」と答えるグループがいて驚いたことがあります。プレゼン能力や責任感より、メイクだそうです。男性から好かれるだけでなく、自分に自信を持つためにも見た目が重要。そのためにメイクアップ技術はリーダーシップに必要な能力というのです。
40年前も今も若い時期は外見が美しければ自信を持てる、人生がうまくいくと思いがちなのです。実は若いときはだれでも生き生きとして若さの生命力で輝いていますが、歳を重ねた50代以降のほうが外見によって自信が左右され、社会の評価も上下します。
歳を重ねていても肌の手入れをし、好感の持てるメイクをし、きちんと身なりを整えている女性は軽んじられません。もちろん、派手に化粧する必要はなく、美人である必要もありませんが自分を見捨てていない、チャンと丁寧に大事にしている、ことが大事なのです。