文春オンライン

「若い時期は外見が美しければ人生がうまくいくと思いがち」人生の後半戦を迎えた50歳前後の女性が追求すべき“心の美しさ”とは?

『女性の覚悟』より #1

2022/09/15
note

「美人は3日見れば飽きる、醜女は3日見れば慣れる」という人間性の機微をあらわすことわざがあります。ひどい言い方ですが、最初の印象は外見で大きく左右され、付き合っていると外見よりその人の内面がわかってきます。最初の印象は見た目に左右されますが、一緒に仕事をしたり、交流が深まったりすると内面の美はじわじわと伝わり、長持ちします。知性や美しい心の持ち方とそれがにじみ出るたたずまいは人を魅力的にします。

 ただメイクと違ってすぐには効果が見えません。時間をかけて蓄積し、時間をかけて伝わります。古い考えだといわれるでしょうが、女性は外見だけでなく内面の美も追求してほしいと願っています。

内面の美はどうやって磨けばいいのか

 ではどうしたら内面の美を磨くことができるのでしょうか。

ADVERTISEMENT

 内面の美を構成する要素の第一は他人に対する思いやりです。特に弱い立場にある人、苦しんでいる人への配慮を忘れないことです。例えばほとんどの人は上司には気を使いますが部下は軽んじるというか、思いやりを持たないで接しがちです。体が弱かったり不自由だったりする人を戦力外として無視する。

 確かにこうした弱い立場の人たちに優しくしても出世や評価には影響しないですが、それでもサポートする、こうした思いやりが人の目つきを柔らかくし、立ち居ふるまいを穏やかにします。

 逆に自分の成功や幸福だけ目指す人、自分と自分の家族にしか愛情を向けない、関心がない人は周囲への配慮に欠け、内面が美しいとはいえません。特に短期的にどうしたら自分の得になるか、目を光らせている人は立ち居ふるまいにいやしさがにじみ出ます。

 愛情の対象を家族・身内だけでなく、もっと広い相手に向けるよう心がけると目つきが優しくなります。自分の子供を愛してもあまり感謝されませんが、ご近所の子供や他人の子供をかわいがったり世話したりすると感謝され、喜ばれます。家族の愛に恵まれない子供や貧しい子供に贈り物をしたり世話をしたりする人からは心の美しさがにじみ出ます。

 もちろん同僚や部下、家族や身内、特に子供の配偶者などの悪口、愚痴はどれだけ言いたくても言わないように気をつけます。それは回りまわって相手に伝わるというだけでなく、相手を攻撃し、批判していると自分の表情やふるまいを醜くするからです。

学ぶことで内面の美が輝く

 第二は学ぶことです。「少にして学べば、即ち壮にして為すことあり。壮にして学べば、即ち老いて衰えず。老いて学べば、即ち死して朽ちず」という佐藤一斎(江戸時代の儒学者)の言葉がありますが、学校を卒業しても常に好奇心を持ち、自分なりに学びましょう。

 勉強なんて嫌い、大人になれば試験もないし、知らないことがあっていいんだと怠けているといつの間にか「終わった人」になって外見もぼんやりして活力がなくなってしまいます。何歳になっても今まで知らなかったことを知る、わからなかったことがわかる、できなかったことができる、という喜びはあなたを内面から輝かせてくれます。