1990年代後半~2000年代前半にかけて、渋谷センター街などに数多く出現した「ギャル」。しかし最近は、金髪で肌を焼いている「ガングロギャル」や、パンダのように目の周りを黒く塗る「ヤマンバギャル」などの派手なギャルたちは、ほとんど姿を見せなくなった。
そんな中、今でも「ヤマンバギャル」を自称するのが、福岡県北九州市に住むデザイナーのうぬさん(38)である。今回、うぬさんに「ヤマンバギャル」に目覚めたきっかけや、派手で人目を引くメイクやファッションを続けてきた中で感じた偏見、「ヤマンバメイク」に対する周囲からの反応などについて話を聞いた。(全2回の1回目/後編を読む)
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推しに会う時はヤマンバメイク「かわいい自分で行きたいから」
――現在は、週に何回くらい「ヤマンバメイク」をされているのでしょうか。
うぬ 大体、週に1回ですね。基本的に平日は、フルタイムでデザイナーの仕事をしているので、休日で出かけるときなどに「ヤマンバメイク」をしています。
最近は、ご当地ヒーローの推し活にハマっているので、そのイベントに行く時は必ず「ヤマンバメイク」をしていますね。かわいい自分で行きたいので。推しに会うのに、何で派手な格好で行くんだって言われますけど、この格好が一番自分がかわいく見えると思っています。
――コロナ禍でマスクをしているとはいえ、相当目立つのでは。
うぬ たしかに目立つといえば目立ちますね。でも、九州独特の空気なのかもしれないですけど、イベント会場のみなさんは結構親切で。怒られることもないですし、「かわいいですね」って声をかけてくれるんです。
ただ、その格好で電車に乗ったり、買い物に行くと、周囲からびっくりされますね。「昔のギャルがいる」みたいな。
――ちなみにメイクにはどのくらい時間がかかるのでしょうか。
うぬ 今は1時間半ぐらいですかね。昔は2~3時間かかってましたけど、慣れてきたので、だいぶ早くできるようになりました。でも、それでも1時間半ですからね(笑)。朝が早い時なんかは、かなり早起きをしなければいけないです。推し活のイベントで早くから並びたい時は夜中の2時に起きて準備して。
顔だけ黒いと不自然に浮いてしまうので、首や耳も黒いファンデーションを塗って、つけま(つけまつげ)は3~4枚重ねて。眉毛はファンデーションで消して、目の上はアイラインで真っ黒にして……。結構やることが多いんですよ。
――うぬさんは「ヤマンバギャル」と名乗っていますが、そもそも「ヤマンバギャル」と「ガングロギャル」の違いって何でしょうか。