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専門学校の入学金は100万円 32歳で寿司職人に転身、「魚はうまくさばけても…」ぶつかった“意外なハードル”

専門学校の入学金は100万円 32歳で寿司職人に転身、「魚はうまくさばけても…」ぶつかった“意外なハードル”

「週末北欧部」chikaさんインタビュー#1

chika 平日は会社員の仕事があるので、朝から19時、20時くらいまで働いていました。土日は休みだったんですけど、土曜日は修行先のお寿司屋さんに半日シフトで入って、日曜日は学校が朝の10時から16時まであって、そのまま修行先へ行き、17時から23時までの夜シフトに入っていました。

「忙しかったんじゃない?」と言われることも多いんですけど、その時は会社員の仕事がずっとリモートワークだったので、体を動かせる寿司の仕事がむしろリフレッシュになって、楽しんで通えていました。それに、その生活を何年も続ける気がなくて「もう来年にはフィンランドに行く」って、終わりを自分の中で決めていたから頑張れたのもありますね。

――漫画にも描かれていましたが、修行先のお寿司屋さんの大将から結構厳しい言葉をかけられたとか。

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chika そうですね。魚をさばくスピードが遅かったりすると、鮮度が落ちちゃうので「もう日が暮れる。いつまでやってんだヘタクソ。そんなんだったら任せられねぇぞ」ってボロカスに言われました。

『北欧こじらせ日記 移住決定編』(世界文化社)より

 難しかったのは、大将の言うとおりにさばいても「この魚のこの大きさだったら、さばき方や塩加減がちげえだろう」って怒られて。魚の状態によって仕事のやり方を変えないと認めてもらえない厳しい世界なのだなと知りました。逆に、それが面白さでもあるのかなとも思いました。

 大将の優しさを感じたエピソードもあります。「てやんでぃ」で怒られた後に、大将がボソッと「言われたことだけやるんじゃなくて自分で考える癖つけろよ。じゃないと、フィンランドに行ったらお前もう1人なんだからな」っておっしゃって。

chikaさん作 『北欧こじらせ日記 移住決定編』(世界文化社)より

 大将はきっといつかここを離れて異国で働く私のことを考えて、人一倍叱ってくださったのかなって、あの時は思いました。正解は1つじゃないって教えてくれたのかなって。今でもフィンランドのキッチンで、たまにそれを思い出します。

北欧こじらせ日記 移住決定編

週末北欧部chika

世界文化社

2022年8月25日 発売

INFORMATION

 chikaさんの前作『北欧こじらせ日記』が、実写ドラマ「北欧こじらせ日記」として、10月4日(毎週火曜日深夜0時30分~)よりテレビ東京で放送されることが決定しました!主演は、AKB48・本田仁美さんです。

AKB48・本田仁美さん ©テレビ東京

【ドラマのあらすじ】 東京の旅行代理店で働く縞子(本田仁美)は、北欧が大好きで、一人暮らしの小さなアパートで北欧の雑貨、食べ物、音楽など、フィンランドを感じることができるアイテムに囲まれて暮らしている。あることがきっかけで仕事、大学時代からの彼氏との曖昧な関係に悩みつつも、大好きなフィンランドへの想いを膨らませ、不器用な縞子の人生がちょっとずつ動き出していく…。

【chikaさんコメント】この本を書き始めた時、私はまだ東京で会社員をしていました。念願かなってフィンランドで寿司職人になった今年は、まさに「人生の新しいチャプター」の始まりで・・・「いつかフィンランドに住みたい」そんな夢を見ながら、東京の小さなアパートでこじらせた北欧愛を綴った本が時を同じくして「ドラマ化」という新しいチャプターを自ら歩み始めたこと、なんだか頼もしく嬉しい気持ちでいっぱいです。また、主演が本田さんだと伺った瞬間は夢かと思いました。実は数年前、異国の地でキャリアをスタートさせた本田さんを拝見し、ひたむきな姿に大変励まされていました。そんな本田さんが演じる主人公、今から本当に楽しみです。「北欧こじらせ日記」の新しい冒険、ぜひ皆様と一緒に楽しめると嬉しいです。

専門学校の入学金は100万円 32歳で寿司職人に転身、「魚はうまくさばけても…」ぶつかった“意外なハードル”

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