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専門学校の入学金は100万円 32歳で寿司職人に転身、「魚はうまくさばけても…」ぶつかった“意外なハードル”

専門学校の入学金は100万円 32歳で寿司職人に転身、「魚はうまくさばけても…」ぶつかった“意外なハードル”

「週末北欧部」chikaさんインタビュー#1

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 SNSアカウント「週末北欧部」を運営するchikaさん。人材業界で働きながらフィンランド移住の夢を追う日々を描いた書き下ろしコミックエッセイ『北欧こじらせ日記』は、2022年2月の発売と同時に各メディアで取り上げられ、大きな反響を呼びました。

 そして4月、ついにフィンランド移住の夢を叶えたchikaさんが、8月25日に続編『北欧こじらせ日記 移住決定編』を上梓。フィンランドのレストランで寿司シェフとして働く忙しい合間を縫って、職人修行の思い出や移住の経緯についてお話を聞かせていただきました。(全4回の1回目/#2#3#4を読む)

chikaさん自画像

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寿司職人はビザが取りやすい

――今年4月にフィンランドで寿司職人になる夢を叶えられたと聞きました。今さらですが、おめでとうございます。

「週末北欧部」chikaさん(以下、chika) ありがとうございます!

――まずはフィンランドへの移住を決意するきっかけになった出来事について教えてください。8歳の時にサンタさんが住むフィンランドに憧れ、大学3年生の時に初めて訪れたと『北欧こじらせ日記』に書かれていますが、「好き」が決定的になった瞬間はいつだったのでしょうか。

chika そうですね……、初めてできたフィンランドの友達から「一緒に森の中でピクニックしに行こう」と誘われたのは、すごく衝撃でした。

 当時大学生の同世代の子だったんですが、流行りのスポットではなく、真冬の雪の積もる森の中にピクニックに行く選択をするところに、その人の自然との距離感が現れてる気がして、いいなって思ったんです。

 それから、フィンランドの人はシャイで無口って言われがちなんですけど、沈黙も一緒に楽しめる心地よさがあって、すごく肌に合うなって感じたのがきっかけでしょうか。自然や人との距離感に魅力を感じたんですよね。

――そんなchikaさんが寿司職人になろうと考えた理由は?

chika フィンランドへの移住について考えていたら、ビザの問題にぶち当たりまして。フィンランド語も話せないので、雇ってもらえそうな求人なんてないだろうなと思っていました。ですが、現地のサイトで「日本人の寿司シェフ大歓迎」という募集を見つけて調べてみたら、寿司職人は日本人であること自体が価値になるので、ビザが取りやすいという情報を得たんです。

『北欧こじらせ日記 移住決定編』(世界文化社)より

 フィンランドに移住することだけを目的にするなら、現地の大学で学ぶ道などもあったと思うんですけど、「自分の足で立ってそこで暮らしてみたい」「後に残るようなキャリアをちゃんと紡いでいきたい」と思ったので、寿司職人になろうって最終的に決意しました。

――その時まで、寿司職人になろうと考えたことはなかった?

chika そうですね。お寿司は好きだったんですけど、一人で魚をさばいたこともありませんでした。