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「僕って中坊から変わってないんですよ」

――改めてになりますが、歴史上の人物で好きな人。あるいは好きな人の傾向など教えてください。

 私は不憫な人が好きですね。才能があってがんばっていたのに、結局、立ち位置によって不憫な目に遭う人を調べてしまいますね。

――それで石田三成なんですね。

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 そうですね。物語を感じますね。嫌われ者に目がいっちゃうんですよ。

――鈴ノ木さんは?

鈴ノ木 坂本竜馬ですね。

 そうなりますよね。

©『竜馬がゆく』鈴ノ木ユウ/文藝春秋

鈴ノ木 でもこれは本当にそうで。最初に歴史でわくわくさせてもらった人って坂本竜馬なんですよ。音楽の場合、ビートルズの『プリーズ・プリーズ・ミー』というアルバムを聴いてガンッと来た。こういう最初のものって影響を受けるじゃないですか。僕の歴史は、最初のガンッが坂本竜馬でした。それから歴史のことを調べて、新選組とかいろいろ行っても、最後に戻ってくる原点が坂本竜馬。竜馬って子どもが憧れる人じゃないですか。

――そうですね。わかります。

鈴ノ木 僕って中坊から変わってないんですよ。好きな女性のタイプとかもあんま変わってないっす。結局、そういう少年っぽさがある人が好きなんですね。

――竜馬が好きっていう気持ちも変わっていない?

鈴ノ木 離れることはあります。それは自分の成長のなかで、気持ちの変化もあったりしますけど、結局、戻る。そういう意味では、泰さんは、今、いろんなことを調べてるけど、藤原道長に戻るんじゃないかな(笑)。

「不憫な人が好きなので…」「新しさを王道のように伝えて」

 最後に、泰さんには鈴ノ木さんへ、鈴ノ木さんには泰さんへのメッセージをいただいた。

 鈴ノ木さんの作品は面白いので、悔しいから遠くから見る感じです。さきほど、言った通り不憫な人が好きなので『竜馬がゆく』のなかでは、武市半平太が好きです。ですので武市先生を、ぜひよろしくお願いします。これからも楽しみにしています!

鈴ノ木 先ほど泰さんの新作の話をちょっと聞きましたが、絶対に面白いだろうって思いました。そして、今までの作品と芯が同じだと感じて安心したというか、羨ましいなって思いました。芯がしっかりしたものが一本あるというのは、絶対に強みですよ。そして、「まだそこあったのか!」という驚きもありました。それだけで『ハコヅメ』が始まったときのような新しさを十分に感じます。それを王道のように伝えてくれたらいいなと思いました。すごく楽しみにしています。

竜馬がゆく1

司馬 遼太郎 ,鈴ノ木ユウ

文藝春秋

2022年8月23日 発売