「次、どんなテーマがいいですかねぇ。明るい話題、あんまりないですねぇ」
なんてやりとりを、文春野球コラムのマリーンズ軍監督・近藤氏としたのは、夏の甲子園が佳境を迎えていた頃。
試合によっては、おなじみのチャンテが両サイドのアルプススタンドから交互に鳴り響くこともあった熱戦続きの聖地では、平沢大河&西巻賢二の母校・仙台育英が快進撃。
須江航監督による「青春は密」の名フレーズも生まれた劇的な“白河越え”が、日本中に感動を呼んだのは、その仙台でイーグルス相手に1安打完封負け。甲子園の優勝投手である小島和哉がまたも見殺しに遭った、ちょうど翌日のことでもありました。
そして、フェンスに激突しながらもボールは離さなかった福田秀平の大ファインプレーなども飛び出し、ホークス戦3タテを含む、3カード連続で勝ち越したのが、つい1週間ほど前。
以前、このコラムでも「信じている」とエールを贈った安田尚憲に至っては、その間、打率.424、3本塁打、9打点と、同学年のスワローズ・村上宗隆に負けず劣らずの大活躍で、借金も「1」。唐突な快進撃の始まりには「早くも風物詩“秋ロッテ”の発動か?」と、色めきたったものでした。
立て続けにアゲ・サゲを繰り返されると…
ただまぁ、その勢いをなかなか持続させられないのが今季マリーンズの最大の難点。
こちらの気持ちを弄ぶかのように、ウッキウキになりかけたところへ、ホームで3タテを食らうなんていう冷や水をぶっかけてくるそのさまは、さながら、ようやく通じあえたと思ったら急に「気安く触んじゃねぇ」などと理不尽に突き放してくる鬼畜なカレシの所業。いくら「惚れた弱み」とはいえ、こうも立て続けにアゲ・サゲを繰り返されると、さすがに愚痴のひとつも言いたくなります。
覇気なく負けるたびに、SNS上にあふれかえる口汚い罵詈雑言の数々も、「いかがなものか」とは思いながら、一方では「そうだよね」と同意する部分もなきにしもあらず。
指揮を執る井口資仁監督をめぐって、「早く辞めてくれ」「いやいや、がんばれ」と愛憎入り混じる喧々囂々の大激論が交わされるのも、ひとえに「マリーンズが本当に好きだから」に他なりません。
ちなみに、「昔より、今のほうがよっぽどマシだろ」的な書き込みも見かけましたが、弱くても応援すること自体が楽しみだったあの頃と今とでは、やっぱり状況も大きく違います。
「2年連続の2位にチームを押し上げた監督は責められない」といった意見も、きっと少なからずあるでしょうが、2005年、2010年の歓喜を経て、10年辛抱したすえの「2年連続の2位」となれば、どうしたって期待のほうが膨らんでしまうもの。
まして、ドラフトではロマンある有望株を数多く獲得し、適宜しっかり補強もして、監督自ら“優勝”の2文字を公言してきたなかでの、この現状なわけですから、多少の批判はやむを得ません。
野球を違うスポーツで例えるのもアレですが、『SLAM DUNK』の“メガネ君”木暮公延だって、グレる前の“ミッチー”三井寿が「全国制覇だ!!」なんてデカいことを言ってなければ、「夢見させるようなことを言うな!!」とつかみかかったりはしないのです。