広島県の平川理恵教育長(54)が主導する発注事業をめぐり、官製談合の疑いがあることが「週刊文春」の取材でわかった。

 平川氏は民間から教育長に転じ、在任5年目。

「京都市生まれで同志社大学を卒業し、リクルートに就職。その後、留学支援の会社を起業すると、今度は横浜市で民間公募の中学校長に。文科省中央教育審議会の委員も務めていました。2018年に湯﨑英彦広島県知事の“一本釣り”で教育長に就任しました」(教育ライター)

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平川教育長

 その平川教育長を巡り、県の教育委員会内部では、平川氏と親密な関係にあるNPO法人「パンゲア」(京都市)に対して、県からの発注が相次いでいることを疑問視する声があがっている。平川教育長になるまではゼロだったパンゲアへの発注は、今年度までに少なくとも計6件、2600万円に上る。パンゲアの理事長を務める森由美子氏と平川氏は直接連絡を取り合う友人で、「バラトゲの会」(奇麗なバラにはトゲがある、に由来)と名乗る女性経営者が集うグループを作っている。また、平川氏は自身の娘をパンゲアの事業であるサマースクールに参加させていたことも過去のインタビューで明かしている。

「週刊文春」は、8月4日発売号で、今年5月にパンゲアの高崎俊之副理事長に対し、県教委の職員が〈実質190万円程度以内で本プロジェクトを実施する必要があります〉などと予算を示すなどして、予定価格を事前に業者に漏らした官製談合防止法違反の疑いを報じた。

三人でピースする平川教育長(左)とパンゲアの高崎副理事長(中)、森理事長(右)(森氏のフェイスブック)

 ただ、県教委は、「実際に契約や公告には至っていない」「準備段階で参考のために事業者の意見を聞いた」とし、平川教育長も会見で「誤解を招いた」として、違法性を否定した。

 しかし、今回「週刊文春」は、別の事業における官製談合の新たな証拠メールを入手した。平川氏の部下である県教委職員X氏とパンゲアの高崎副理事長が今年2月にかわした複数のメールである。そこで言及されている事業は「高等学校課題発見・解決にかかる探究活動の指導」。有志の生徒の課外活動を指導する、というのが主たる内容だ。メールは同事業に関する〈次年度予算について〉と題され、県教委職員X氏がこう送っている。