分裂の原因は「カネ」と「6代目体制」
分裂の原因について、この警察当局の幹部は、「カネと人事だった」と指摘する。「直参は毎月、百数十万円の上納金を納めるほか、6代目体制になり盆暮れや司の誕生日などに5000万円、1億円を上納していた。こうしたカネは大きな負担だった」
警察当局の幹部は続けて、「組長の司、ナンバー2の若頭、高山清司とツートップを弘道会出身者が独占し、強権的な組織運営がなされていたことも原因」とも付け加えた。ツートップだけでなく山口組新報の最新号で巻頭言を書いた弘道会会長の竹内も、7人いる若頭補佐のうちの一人として最高幹部に名を連ねている。
「水は高い所から低い所に流れるが、カネは強い所に吸い込まれる」
このような体制について警察当局の幹部は、「6代目体制は事実上の弘道会支配、名古屋支配だ」とも述べた。5代目体制の山口組は神戸市に拠点がある山健組が中心だったが、6代目体制になって名古屋市に拠点を構える弘道会へとパワーシフトがあったため、このような表現となった。
6代目体制で支配を強めた弘道会を、山健組とともに、「二大派閥」と呼ばれるまでに押し上げたのは、高山だとされている。高山は武闘派であるとともに経済ヤクザとしても知られている。
6代目山口組の事情に詳しい指定暴力団幹部は、高山の経済ヤクザぶりについて、「シノギ(資金源)は中部国際空港の利権が大きかった」と指摘する。「1000億円は稼いだと言われている。砂利や生コンなどの建設資材の調達、ダンプカーでの運搬など、何でもカネが落ちるように利権を拡張していったと聞いている」と解説する。
そのうえで実態について次のように強調した。「力のある組織にはカネが集まり、カネが集まれば若い衆も集まる。組織が大きくなれば新たなシノギの話も舞い込んでくる。そうなると、うまい具合に転がっていく。水は高い所から低い所に流れるが、カネは強い所に吸い込まれるというものだ」