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「特に狙われやすいのが、看守が交代するタイミングですね。看守台という全体の房が見えるところに人がいればいいのですが、個別の留置人の状態を把握するために人手が足りなくなる瞬間は存在します。『●号室の人が下痢なので正露丸をあげた』とか、『●号室と●号室の人が口論になったので注意』とか、一人ひとりの状態を把握したり看守同士で共有することも重要で、すべての留置人を24時間監視するのは難しいんです」(小川氏)
午前7時という時間から見える容疑者の“葛藤”
凜容疑者は午前7時前に自殺を図ったと見られているが、小川氏によればその時間帯には凜容疑者の“葛藤”があった可能性もあるという。
「朝7時の巡回で布団が片づけられて一日が始まります。つまり他の留置人もとっくに起きている時間で、物音がすれば騒ぎになって看守が駆けつける可能性も高い。それでもこの時間に自殺を試みたのは、おそらくですが一晩思い悩んでいるうちに夜が明け、また長い一日が始まってしまう前に、というタイミングだったのかもしれません」(小川氏)
取調べに黙秘を続けていた凜容疑者が死亡したことで、事件の真相解明はまた難しくなってしまった。高井さんとの養子縁組の経緯や、保険に加入させた経緯、そして直子さんが殺害された当日の様子などについて真相が明らかになる日は来るのだろうか。