プロ野球のシーズン大詰めを迎えても、巨人が最下位圏内から抜け出せていない。原辰徳監督(64)は来季が3年契約の2年目。最下位以外が「無条件続投」とみられるだけに、去就は依然、予断を許さない。そして、ここに来て次期監督候補に、さる人選が取り沙汰されている。
2016~18年に指揮を執った高橋由伸前監督(47)である。
最下位は球団史上、1度しかない屈辱
巨人は2年ぶりのV奪回が既に絶望的で、最下位の中日とは3ゲーム差しかない。最下位が確定すれば1975年の長嶋茂雄監督以来、47年ぶり。原監督は契約期間中とはいえ、進退問題に発展することは避けられないだろう。
18年オフに球団が三顧の礼で迎え、19年から2年連続リーグ優勝に導いた経緯を踏まえると、解任はなくとも辞任はあり得る。
既に各紙の巨人担当記者は、第2次政権下の原監督がクライマックスシリーズ敗退後に辞意を表明した15年を踏まえ、不測の事態に警戒感を強めているという。
「最下位は球団史上、1度しかない屈辱。原監督は現役時代を通じ、経験したことがない。7年前のように自ら身を引いても不思議ではない」(巨人担当記者)
原監督がもしかしたら辞任するかもしれないというシミュレーションを、高橋氏周辺も想定しているという。同氏と同じ慶応大学OBの球界関係者はこう語る。
「何かあれば、ヨシノブに出て行く準備はできている」
巨人はヨシノブ監督に負い目がある
高橋氏は、原監督が退任した15年、球団の監督就任要請を受けると、現役続行を断念し、40歳の若さで就任した。要請は、原監督退任から数日しかたっていなかったという。「まさかと思った」と、高橋氏は青天の霹靂だった当時の思いを明かしている。
チーム再建の構想に思いを巡らすどころか、選手から監督に転身する覚悟を決めるのにも満足な時間を与えられなかった。在任3年間の成績は2位、4位、3位。成績不振の責任を取り、18年限りで退任した。優勝を経験できなかった巨人監督は堀内恒夫氏以来、2人目だった。
「読売には選手のユニホームを脱がせてまで監督に据え、泥をかぶらせた負い目がある。3年という短期で退かせたのも、それ以上はヨシノブの名を落とさせず、再登板に備えるための措置だったと聞く。十分に準備させた上で、もう一度監督をさせたいとの青写真は根強い」(同前)