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《愛知・母子3人殺人事件》「夜になると景色が一変して…」“ぴょんぴょん婆”“トランペット小僧”が出現する“有名心霊スポット”で、またも繰り返された悲劇【再逮捕】

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「子煩悩なお父さんという印象だったのに……」

 田中容疑者と家族はかつて、愛知県津島市にあるアパートで妻と長女の3人で暮らしていたが、2016年に長男を授かったことを機に扶桑町の実家近くに、住宅ローンを組んでマイホームを新築している。近所の住人は口を揃えて「仲のいい家族だった」と話す。

「家を建てる前に旦那さんがご挨拶に来られて、『今度引っ越してくる田中です。家の工事で迷惑をお掛けすると思いますが、よろしくお願いします』と、丁寧な人でした。越してきた時は下のお子さんはまだ生後半年くらいで、上のお嬢ちゃんは人懐っこくて、学校から帰ってくると『こんにちは』って自分から笑顔で挨拶してくれる子でした。

 奥様は県内出身の小柄な方で、『下の子が小学校に入って手がかからなくなったので、近くの病院で保育士として働き始めた』と言っていました。旦那さんは電気工事の仕事をしていて、早朝から深夜まで働いていました。仕事で使っていた軽自動車が止まっていたのは休みの日曜くらいだったと思います」

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 別の住人も「子煩悩なお父さんという印象だったのに……」と驚きを隠せない。

「自宅の庭には旦那さん手作りの鉄棒があって、よくお子さんたちが楽しそうに遊んでいました。旦那さんは自治会のスポーツ協力員の会長もしていて、つい先月も10月に開催されるフェスティバルの準備で熱心に挨拶回りをしていました。6日も地元のお祭りに家族4人で参加しているのを見かけた方もいました。言い争うような声なども聞いたことがありません」

田中容疑者の自宅の庭にある自作の鉄棒 ©文藝春秋

目つきが鋭く一見、怖い雰囲気

 最愛の妻を手にかけ、罪もない我が子の命を奪った田中容疑者とはどのような人物なのか。古くから住む実家近くの住人が語る。

「田中家は地元の名士で、大介の祖父はメッキ工場を経営しながら町会議員もしていた。大介の父親も工場で働いていたが、工場は閉めて今は住宅地になっている。大介は二人兄弟の末っ子で、無口で大人しい性格だった。地元の公立高校を卒業して自動車会社に就職したと聞いたが、それ以降はあまり見かけない。大介の母親は以前、保育士をしていて、大介に娘が生まれた時は嬉しそうに『孫が生まれたの』と近所の人たちに赤ちゃんの写真を見せていた」

 田中容疑者の高校時代について同級生に話を聞くと、「ヤンチャなグループ仲間と連んでいた」と語る。

「最初は報道で名前を見聞きしてもピンときませんでしたが、顔を見て少しずつ思い出しました。彼は理系で、ガタイがよく、野球部ではピッチャーをしていました。運動神経がよく、体育祭などに率先して参加して、リレーでも足が速かった。

 ただ、校則が厳しい学校でしたが、彼は学ランの前のボタンをいつも全部外していたり、シャツも胸元まで開けたりして、クラスでもヤンチャなグループとつるんでいました。ヤンキーではなかったですが、目つきが鋭いので一見、怖い雰囲気はありました」

高校時代の田中容疑者

 事件直前まで一家で出かけるなど、幸せそうに見えた田中家。最近の夫婦関係について話を聞こうと田中容疑者の実家の両親の元を訪ねたが、実母は「お話しすることはありませんので」と答えるのみだった。