京都・蓮久寺の三木大雲住職のもとには、助けを求める人が絶えない。ポルターガイストに悩まされている、人形をお祓いしてほしい、さまよう霊を供養成仏させてほしい……。そんな実話や自身の体験など、現代の怪談、奇譚の数々を収めた『怪談和尚の京都怪奇譚 宿縁の道篇』(文春文庫)より、背筋も凍る「究極の心霊スポット」を特別公開。見えない世界に触れることで、あなたの人生も変わる……のかもしれない。
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お寺には必ず、山号と呼ばれるものがあります。例えば、現在私が住職をさせて頂いているお寺の正式名は、光照山 蓮久寺です。この様に、〇〇山という山号がお寺の名前の前に付きます。これは山岳で修行した僧侶が多かった時代の名残だと言われています。
ですので、比叡山、身延山、高野山など、古くからあるお寺は、山の上に総本山があるわけです。お坊さんの修行には、雑念の少ない静かで人里離れた孤独な環境が適しているのです。
山深い場所にあるお寺にご参拝に行かれる方は、今も多くおられます。そんな参拝者様の中には、参籠と言いまして、お寺やその近隣に一定期間泊まって、ご祈願などされる方もおられます。これは、そんな参籠に行かれた、ある男性が体験されたお話です。
「究極の心霊スポット」とは
私は、心霊スポットを巡るのが好きで、これまで色々な場所へ行きました。目的は、究極の心霊スポットを探し出すことです。私の言う究極の心霊スポットとは、誰が行っても不思議な体験の出来る場所です。それを求めて、沢山の方に聞き込みもしました。心霊マニア、怪談師、自称霊能者、怪談好きの集会で知り合った方など、心霊通の皆さんに聞きまくりました。しかし、既に行った場所であったり、行ったけれど何もなかったと誰かがインターネットにあげていた場所であったりして、究極の心霊スポットを中々見つける事が出来ませんでした。
そんなある日のことです。私は叔父の経営する車の整備工場で仕事をしているのですが、そこに来られたお客さんから、こんな話を教えて貰いました。
そのお客さんは、ある会社を経営されている社長さんで、普段怪談話などされる様な雰囲気の方ではありませんでした。ですがある時、叔父がこのお客さんに、私が休みを取っては心霊スポットに行っている事を話したそうです。するとお客さんは、私を見つけて、「究極の心霊スポットを教えてあげようか」と言って来られたのです。