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「そうか、お前もそれを経験したか」
あとでお婆さんに話をお聞きすると、この山では、私が体験したような事が時々起こるのだそうです。そして、そんな目に遭うのは、決まって真面目に参拝に来た人ではなく、おもしろ半分で来た人だというのです。
私は後悔していました。参拝目的ではなく、遊び半分で来たわけですから。しかもこの場所は心霊スポットなどではなく、神聖な神様や仏様の居られる場所なのです。今度来る時は、真面目に参拝者として来るようにしよう、と心に誓いました。
そして会社に帰り、叔父にこの話をしました。すると叔父は、仕事をサボっては心霊スポットに行く私にお灸を据えたいと思っていたのだ、と言います。そこで常連のお客さんに話したところ、一度怖い目に遭わそうと、あの山寺を紹介してくれたそうです。
そして、あの山寺を紹介してくれたお客さんにもこの話をすると、笑ってこう仰いました。
「そうか、そうか、お前もそれを経験したか」と。どうやらこのお客さんも、若い頃、あの山寺で同じ目に遭われていたそうです。
男性はそんな話を聞かせて下さいました。究極の心霊スポットとは、人生の厳しさを教えてくださる場所でもあるのかもしれません。