釣り人に悪い人はいないのか?
残念ながら、いつの時代にも悪い人は存在する。ゴミの放置、立入禁止エリアに侵入、漁業関係者とのトラブルなど……。SNSを開けば、釣り人による悪いニュースを頻繁に目にする。
しかし、これらは単なるネット上の他人事では済まない話でもある。私自身、マナー違反の域を通り越した危険な目に何度も遭遇している。今回は私が釣りをしていて命の危険を感じたエピソードを幾つか紹介する。
釣り禁止エリアから「鉛の塊」が飛んできて身体に直撃
関東のとある漁港にて、身の毛もよだつ恐ろしい出来事に遭遇した。
この日は、初めて訪れる釣り場で友人3人と夜釣りを行っていた。コの字型の港で対岸まで100mもない小場所と言える釣り場であった。
「2時間かけて来た割には釣れないな」と嘆いていると、突然「バスッ!」と衝突音が聞こえて隣の友人が足を抱えて痛がってる様子だった。一瞬の出来事で何が起こったのかまったく理解できなかったが、足元に落ちた釣具のジェット天秤(確か20号75g)を目にして、ようやく事態を理解することができた。
高切れしたジェット天秤が対岸から飛んできて、友人の足に直撃したのだった。
ジェット天秤は、仕掛けを遠くに飛ばすために使われる投げ釣り用の道具で、言い換えれば鉛の塊でもある。高切れとは、重い仕掛けを投げる際、竿に糸が絡まったり何らかの原因でリールから糸が放出されない場合、糸が切れて仕掛けだけが飛んでいく現象である。
大海原に仕掛けが飛んでいくなら被害は最小限で済むが、今回は対岸までの距離が短い漁港で起きたため友人に直撃してしまったのだ。
友人の代わりに私が飛んできた仕掛けを持って犯人探しに行ったのだが、そこで驚いたのは飛んできたエリアは釣り禁止場所であったのだ。一人ひとり訪ねて回ったのだが、ルールも守れない非常識な釣り人ということもあり、当然名乗り出る者はいなかった(同じ仕掛けを持っている人を見つけたが、確証はないので諦めることに……)。