船が行き交う大河川の橋から釣り糸が…
最後は都内の大型河川に架かる橋で起こった出来事を紹介する。
知人のプレジャーボートに乗船して夜のルアーフィッシングに向かう中、一級河川の河口を通るのだが、そこで信じがたい光景を目にした。高速道路や一般道路でできた複数の橋の間からこぼれる光の中に1本の釣り糸が垂れていたのだ。
まさかと思って見上げてみると高齢の釣り人が橋の上から釣りをしていた。我々を覗き込んでいたが仕掛けを回収する動作は見られず、むしろ引っかかっても仕掛けを切って逃げれば良いとでも思っていたのだろうか。
ちょうど船が糸を横切る際に私が気付いたのだが、もしも誰も気付かないまま糸が身体に接触していたら……。釣り糸は簡単には切れないので、首に巻き付いていたら恐らく二度と釣りができない状態になっていただろう。
私も釣り人なので魚を釣りたい気持ちは理解できるが、他人に危害を加えるリスクを負ってでも自身の釣果を優先する精神は理解しかねる。
そもそも橋の上からの釣りは道路交通法で「交通の妨害となる行為」として禁止されている。他の橋でも発見次第すぐに通報しているが、ゼロにはならないのが現状。知らずに橋の上で釣りをしてしまっている方は注意していただきたい。
釣り場を守るのは釣り人しかいない
今回紹介した釣り人はマナー以前に警察案件でもあるのだが、身近なトラブルとしては釣り場にゴミを放置する者、漁港を我が物顔で利用する者など、釣り人による揉め事で毎年どこかの釣り場が閉鎖に追い込まれている。残念なことにごく一部の人間のせいで世間では「釣り人=悪」の認識さえ広がっているように感じる。
全国的に釣り場の清掃活動を行う個人、団体が増えているにもかかわらずだ。
違反者に直接NOを突き付けると今回のような異常者にエンカウントするリスクがともなうので、通報などの手段を取るのが安全策と言える。
釣り人に悪い人はいないのか?
その問いに“はい”と答えられる時が来ることを切に願う。
写真=ぬこまた釣査団(大西)