かつて“視聴率俳優”として一世を風靡し、いくつもの人気テレビシリーズに主演した古谷一行さんが8月23日、東京都内の病院で亡くなった。享年78。昨今ではやはり早逝と思えてならない。

古谷一行さん ©️文藝春秋

 古谷さんは東京都出身。大学在学中に俳優座の養成所に入り、俳優・役者人生を志す。石原プロ製作の映画『富士山頂』(’70年)等に出演するものの、30歳を過ぎる頃まではこれといって目立った大きな役にも恵まれず、役者として葛藤の日々を送っていたという。

 転機となったのは1977年にTBS系でスタートした『横溝正史シリーズ』。古谷さんは主人公の名探偵・金田一耕助役を演じ、市川崑監督の映画『犬神家の一族』(’76年)で石坂浩二さんが演じた金田一像とはまた違う魅力を醸し出し、一躍人気スターの座に躍り出た。

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“金田一耕助”から“濃厚なラブシーン”への転回… 

 1983年から同じTBS系で放送された『金曜日の妻たちへ』シリーズでは、幾多の美女とラブシーンを演じるダンディな主人公を演じて新境地を開拓する。

 このドラマのプロデューサー兼監督で、『ウルトラマン』シリーズの監督でもある故・飯島敏宏さんは、「あのドラマは古谷さんが主役を演じたから当たったんです。一見武骨に見えるけど内面はナイーブ。そして都会的でスマート。そんな古谷さんだったからこそ支持を得たのでしょう」とご生前、分析されていた。

 その『金妻』と同じく、古谷さんが濃厚なラブシーンを演じて話題になったドラマが『失楽園』(’97年/日本テレビ系放送)だった。