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故・渡辺淳一さん原作で映画にもなったこのドラマで、古谷さんは、故・川島なお美さん演じるカルチャーセンターの美人講師・松原凛子と不倫する主人公の出版社社員・久木祥一郎を演じた。平均視聴率20%強、最終回は最高視聴率27.3%を記録し、我が国の’90年代を代表するドラマのひとつとなった。
当時テレビ雑誌の記者をしていた筆者も何回かこのドラマの取材で古谷さんにお話を伺った。
「ラブシーンのコツはありますか?」と聞くと…
質問はどうしてもラブシーンの事にいく。そこで“ラブシーンの秘訣というかコツ的なものがありましたら?”という質問をしたところ、苦笑されて「そんなものはないけどね」と言いながら、真面目に答えてくださった。
「やっぱり相手役が魅力的であることが一番でしょう。こればかりはいくら僕が頑張ったところでどうしようもない。そういう意味では川島さんは最高のパートナーです。
でも、だからといって本気になってもいけない。あくまでも“演技”ですから。なので常に無心であたっています。無我の境地ですよ」
と、共演者を立てつつもまるで禅寺の修行僧のようなお言葉をいただいた。それもまるで自分に言い聞かせるように、ひと言ひと言噛みしめながら、しかし滑舌よく話す語り口に、古谷さんの朴訥なお人柄を感じた。