マウンドで見せる「カッコ良さ」
そんな中、光成はまさかの1年目から1軍に抜擢されて初登板、初先発。残念ながら黒星を喫したが、2度目の登板でプロ初勝利を飾った。
埼玉西武ライオンズにおいて、「高卒新人投手のプロ入り2試合目での初勝利」は1999年に初登板・初勝利を挙げた松坂大輔さんに次ぐ早さで、18歳6か月での初勝利は18歳7か月で初勝利を挙げた松坂さんより早い達成だった。
1年目から早くも大物感!
たしかに普段の光成とマウンドに立っている光成は雰囲気が違う。普段は「こうな」と呼んだら、いつもニコニコして「はいっ!」と言ってくれるが、マウンドに上がれば恵まれた大きな体格からダイナミックなフォームでバシバシ強い球を投げ込んでいく。
さすが甲子園の大舞台での優勝投手、マウンドにいる時の堂々としている姿はカッコよかった。
どこか同郷の大先輩、渡辺久信さんにも似ている雰囲気だ。プロ野球のピッチャーとしてマウンドにいるときに、カッコイイというのは大事な要素だと思う。
そしてまさかの1年目に初完投、初完封勝利もあり、8月の月間MVPを獲得(4勝1敗 防御率2.96)。18歳6か月での受賞は、18歳10か月で受賞した松坂さんの記録を更新し、両リーグ通じて最年少での受賞になった。
申し分ない1年目だった。ぼくはこの年限りでライオンズを退団することになったが、陰ながら今もずっと応援している。
「不動のエース」に求められること
2年目の2016年は、2年連続で完封勝利を挙げる。順調に見えたが、黒星が続きプロの壁にぶち当たった。
でもぼくは、早い時期に壁にぶつかってよかったと思っている。プロになったら、必ずみんな経験することだからだ。
光成の場合は1年目から1軍のマウンドを経験して自信もついたと同時に、課題も自分なりに見つけられたと思う。
しかし「2年目のジンクス」という言葉があるように、相手も「同じ相手に何度もやられないぞ」と向かってくるのがプロの厳しさだ。
3年目、4年目もケガなどもあって低迷する。
でも、この時期があったから、今の光成がある。
プロ入り後の4年間で山あり谷ありの選手生活を過ごしてきた経験が、今、マウンドに立っている光成の粘り強さに繋がっていると思う。
彼を見ていると、野手がホームランを打った時やタイムリーヒットを打った時には本当に喜び、その後すぐに引き締まった表情に変わる。
是が非でもチームに勝利をもたらさなければいけない――。そんなエースとしての自覚や責任が芽生えてきているように感じる。
昨年2021年、初の開幕投手を務めた。チームが低迷する中で11勝をマークした。シーズンオフには選手会長にも就任し、推定年俸も1億円を超えた。髪も伸びたし、一流選手の仲間入りだ(笑)。(この頃、米野も髪を伸ばし始める)
今季も2年連続の開幕投手を務め、更なる飛躍を目指して投球フォームも改造した。そして先日、2年連続の2桁勝利を達成。ひときわ大きな体と帽子からなびかせている長髪で、前にはなかった威圧感もバッチリだ。
「ライオンズの不動のエース」と言っても、もう誰も文句は言わないだろう。
でも、「真のエース」になるのは今だ!
熾烈な優勝争いが続くパ・リーグで、ライオンズは最後まで厳しい戦いを強いられるだろう。そんな状況の中でチームに勢いを与えられるのが「真のエース」だとぼくは思う。
チームのリーグ制覇、日本一になるために先頭に立って突き進んでくれ!
そして最後に、あの最高の笑顔を。
名前の通り、マウンドで光かがやき、成長して成熟していく姿をぼくはずっと見ていたい。
がんばれ光成!!
P.S.
9月27日の高橋りんご園、収穫体験&観戦バスツアーにぼくも参加しようかな!?
https://www.seibulions.jp/news/detail/00005966.html
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/57169 でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。