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2022/09/14

 一方の井上選手も「アイツもめっちゃ成長しとるなと思います。試合も結果もちょこちょこ見てますけど、(外野手なのに)内野で出てるし。アイツは努力して内野もこなしている。良い選手になってるなぁと思いました」と奮闘っぷりにこちらも刺激を受けていた。

 仲田選手は外野手として入団した外野手登録の選手だが、1ヶ月ちょっと前にホークスのチーム事情で突然内野を任されたことがあった。しかし、突然の起用にも関らず、それに見事に応え、首脳陣も大いに評価していた。井上選手によると、仲田選手はプロの世界で生き抜くため、少しでも自身のオプションを増やそうと、ドラフトが終わってから自主的に内野の練習にも取り組んでいたのだという。井上選手もノックを頼まれることがあったそうだ。とにかく自ら道を切り開こうと努力する仲田選手の姿は、井上選手にも大きな影響を与えていた。

共にNPBで2桁の背番号を背負うために…

 プロ野球の世界で、育成選手と支配下選手は当然区別される。しかし、育成でもNPBにさえ入ることが出来たら、そこからは自分次第で道を切り開くことが出来る。仲田選手の場合は、順位だけで見ると育成14位と“最下位”での入団だが、入団さえしてしまえばそんなことは関係ない。それを既に体現する奮闘っぷりで、育成ながら2軍の“レギュラー格”へと這い上がってきている(なお、この徳島戦は体調不良明けだったため3軍戦で復帰していた)。支配下登録を掴むのも早いのではないかと個人的には感じている。

 そして、同じ“プロ野球”とはいえ、NPBの選手と独立リーグの選手も当然区別される。育成であってもやはりNPBは恵まれている。井上選手は「結構大変なことも多いですけど、とにかくNPBに行くためなので」と1つの光に向かってひたむきに突き進んでいる。独立リーグは毎日のように試合があるため、日々成長することができ、野球に打ち込める環境だという。自分次第でいくらでも成長できそうだ。自主性が重んじられていた大学時代の経験もあり、全体練習後の自主練も習慣付いており、充実した時間を過ごせている。さらには、一人暮らしで、自炊生活。栄養面も考えて食事も作らなければならないから大変だ。でも、悔しさも大変な経験も全てをエネルギーに変えていた。

“徳島のギータ”こと井上絢登選手 ©上杉あずさ

 井上選手にとって、2度目のドラフト会議がまもなくやってくる。同世代には村上宗隆選手らがいる。「絶対NPB行って、同世代にも負けないような選手に早くなりたいです」と大きく夢を描きながらも、しっかりと足元を見て、今を懸命に過ごしている。徳島に行って、持ち前のフルスイングを生かした打撃のみならず、守備も走塁もレベルアップした井上選手。「走攻守でアピールしたい」そう話す姿は1年前に取材した時とは違う。あの時より胸を張り、自信を持って、運命の日を待っているように感じた。

 来季はNPBの試合で、共に2桁の背番号を背負い、この日の3軍戦のような光景が見られたら素敵じゃないか。これからも最高の相棒と切磋琢磨し続け、共に駆け上がる姿を見せて欲しい。

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