ライデル・マルティネスを上回る“数字”
数字上も、2軍の試合ながら9月8日現在で11試合に登板し、防御率3.48と悪くない成績を残している。だが個人的に特筆したいのは、与四球の少なさだ。これまで10.1回を投げて、たった1つしか四球を出していない。
投手の制球力を示すK/BB(奪三振数÷与四球)という指標がある。一般的に3.50を超えると優秀とされる数字(諸説アリ)だが、参考までにこれと照らし合わせると竹内のK/BBは7.00。母数こそ比較にはならないが、竜の守護神ライデル・マルティネスが6.625であることを考えると、如何に優秀な数字かがお分かりいただけるかと思う。これも本人は相当に意識しているようだ。
「フォアボール嫌いなんです、昔から。(ストライク)ゾーンで勝負したいんで。直球だったら、問題なくストライクゾーンに投げられる自信はありますね」
順調に来ているからこそ、クリアすべき課題も明確に口にしている。
「まだプロのキャッチャーの方のサインについていこうと思って、首を振らないようにしてるんですけど。(担当スカウトの)八木(智哉)さんからは『(捕手のサインに)首を振るのも大事だぞ』ってこの間連絡をもらいました。プロの投手の変化球に比べると、まだしょぼい変化球しか投げれないんで。今は(自分の投げられる変化球の中から)厳選して放ってる感じです」
ようやくプロ野球の階段を一段一段昇り始めた竹内の次の目標は、支配下登録に復帰すること、そして1軍での初登板であることは間違いない。来季、バンテリンドームナゴヤのマウンドでその姿を見る日を筆者は心待ちにしている。
最後になるが、取材日は8月25日。竹内は23日、24日とプロ入り後初めて連投を経験した翌日だった。
「(腕が)張ってます。大変ですよ、ブルペンに連続で入るだけでも」
入団したばかりの初々しい様子も、怪我に苦しんだ姿もそこにはなかった。笑いながら腕をほぐし取材に応える竹内の顔は、プレイできる悦びに満ちた、紛れもないプロアスリートのそれだった。
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