昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

ミスもプレーで取り返せ! 一気に若返ったドラゴンズが面白い理由

文春野球コラム ペナントレース2022

 ドラゴンズはオールスター戦明けからここまで11勝9敗と踏ん張っています(8月21日時点)。原動力になっているのは、どんどん頭角を現している若手選手たちでしょう。

 筆頭はすっかりリードオフマンとして頼もしくなった20歳の岡林勇希選手。さらに20歳の高橋宏斗投手、19歳の土田龍空選手らがチームを引っ張っています。23歳の石垣雅海選手も頑張ってますし、19歳の上田洸太朗投手も好投しています。ペドロ・レビーラ選手だって、まだ23歳。大島洋平選手離脱の穴を埋めている三好大倫選手は24歳です。もちろん、22歳の根尾昂投手も忘れてはいけません。一気にチームが若返った感じで、毎試合見ていて本当に楽しいですね!

レビーラ

 岡林選手はバテてしまった時期もありましたが、反発力を見せて盛り返してきました。勝負強い打撃も魅力です。チャンスでは「開き直って行け」という立浪和義監督の言葉そのままに気兼ねなく初球から打っていく。2死三塁といえば点が入らないのがドラゴンズだったのに、岡林選手はサッとタイムリーを打ってくれる。「ドラゴンズは勝負弱い」というレッテルを剥がすことができるのは、岡林選手のようなふてぶてしさがあって勢いのある選手だと思います。

 最近目立っているのが、首位ヤクルトとの3連戦でサヨナラ打と決勝タイムリーを放った土田龍空選手。正遊撃手の座を射止めんとする活躍ぶりを見せています。闘志剥き出しのプレーが最高ですね。

 片岡篤史二軍監督や仁村徹前二軍監督(現・編成統括)もお話しされていましたが、土田選手の守備は天性の上手さがあるものの、ポカも多かったそうです。たしかに一軍でエラーもありました。でも、悔しさを前面に出して心が折れていないところを見せてくれると、次に期待したくなります。土田選手を起用し続ける立浪監督の気持ちもよくわかりますね。見ていて気持ちを共有しやすい選手ですし、しっかり結果も出しているので、ファンの心もガッチリ掴んでいます。

首位ヤクルトとの意識の差が出たプレー

 試合を見ていて心が揺れるプレーがありました。8月20日のヤクルト戦、1−6で5点差を追っている8回表のことです。マウンドには根尾投手。無死一塁から長岡選手のレフト線へ飛んだ打球を、レフトのレビーラ選手が切れると思ったのかゆるく走って追いかけ、フェンス際で2クッションさせてから捕球。ライン際にいた土田選手に返しましたが、土田選手も落球してしまいました。その間、一塁からオスナ選手が全力で走ってホームイン。しっかりプレーすれば防げたはずのダメ押しの1点が入りました。

 5点差ということもあったのかもしれませんが、僕には集中力を欠いたプレーに見えました。点差以上に首位チームと最下位のチームの意識の差が出たプレーだと思います。マウンドの根尾投手は鋭い眼光で打者を抑えにかかっているのですから、野手はそれに応えなければいけない場面。野球は何が起こるかわからないので、この1点が重く響く可能性もあります。

 プレー後、土田選手は非常に悔しそうな表情を見せていましたが、すぐさまゲッツーを決めて、翌日の試合でもファインプレー、決勝打も放ちました。さすがの負けん気の強さです。一方、レビーラ選手はベンチに帰る足取りが非常に重く、かなり落ち込んでいるように見えました。

 実は、僕は翌日の試合で立浪監督がレビーラ選手をスタメン起用するなら、正直、今季のドラゴンズの浮上は難しいと思っていました。21日のスタメンにはレビーラ選手の名前はありませんでした。立浪監督の厳しい目が反映されていたと思います。

z