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15年連続50試合登板は途切れたけれど…日本ハム・宮西尚生投手はもうその先を見ていた

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/09/15
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宮西投手とチームはとっくに先を見ていたのか

 結局、宮西投手の1軍昇格はないまま8月30日のライオンズ戦を迎えた。この試合が成立すると今シーズンの残り試合は25試合になる。50試合登板まであと26試合必要な宮西投手の15年連続の記録達成が途絶えるのだ。ここから先に全試合投げたとしても49試合にしかならない。そして、その瞬間はあっけなく訪れ、私の担当するHBCラジオ「ファイターズDEナイト!!」にはたくさんのメッセージが寄せられた。ファンの悔しさが募った夜、私と同じように自問自答する内容も多く見られた。絶対的存在の宮西投手の姿のないシーズンはどんなに世間がファイターズに注目しようとも、薄紙がかかったように見える瞬間が幾度もあった。

 そうしてチームから届く手術の報せ。「宮西尚生投手が、9月6日に札幌市内の病院で左肘クリーニング手術を行うことが決まりましたのでお知らせいたします。全治3カ月の見通しです」。これまでオフにメスを入れることはあってもシーズン中は初のことだ。本人のコメントの中には「この年で手術するという決断を尊重してくれた球団に感謝したいです」とあった。

 ああ、そうなのか。宮西投手とチームはとっくに先を見ていたのか。余計なことを考えていた時間は勿体なかったと、ほっとする自分がいた。8月10日に抹消されてからは札幌で調整を続けていたそうだ。本人の中で記録が途絶える覚悟もとっくに出来ていて、切り替えも済んでいただろう。手術は無事終了、退院した宮西投手はもう来年に向かって進んでいる。

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 もうひとつ心配だった契約の問題。今季で2年契約が切れる、でも記事で「新球場で400ホールドを取れたらいいと思います」という言葉を見つけた、あと20ホールドだ。そして数字で言えばもうひとつ。岩瀬投手は1002試合という通算試合登板記録も持っている。今年で808試合登板の宮西投手が並ぶには、あと194試合。37歳での手術を経て、この先、どれだけ長く投げてくれるのか楽しみでならない。

 札幌ドームのファイターズが終わる。チームのどの投手よりも多く札幌ドームのマウンドに立った宮西投手。そしてチームのどの投手よりも早く新球場へ向かい始めた宮西投手。エスコンフィールド北海道のファイターズが始まる。ひとつひとつ気持ちを整理させて、ファンも次に進んでいく。

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