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「面接では会社の社長のほかに、なぜか取引先の担当者も同席していたんです。なんでも、私が入社した場合はその取引先の仕事を主に手伝うことになるから、とのこと。業界が未経験だったので、そんなこともあるのかと最初は特に気にも留めませんでした。

 最初は前職をやめた理由など普通の会話をしていたのですが、面接が進むにつれて、途中から取引先の人からの質問が増えてきました。それも『彼氏はいるの?』『この仕事は結構不規則だから、彼氏とかに理解がないと困るんだよね』『24歳とか若くてかわいいし、仕事もとれるんじゃないかな』といった、業務にかこつけたプライベートに関する質問や、容姿についての言及が増えてきたんです。

 内心では『は?』と思いましたが、その業種を募集している企業が少なく未経験者の私が業界に入るにはそこしかない、と思いこんでいたので、愛想笑いしながらプライベートな質問にも答えましたよ。今だったら間違いなく『その話、関係ないですよね』とか言えると思うけど、当時の自分では無理でしたね。

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 この会社に採用されて働き始めましたけど、一通り仕事を覚えて業界の人脈もできたので、すぐ同業他社に転職しました。今はまったく付き合いはありません」

『そうなの~』『すごいねえ~』ニヤニヤして気持ち悪い面接官

 今やネットに押されて斜陽のテレビ業界も、かつては学生に人気が高かった。特に昭和の価値観が横行していて面接が厳しいと言われた地方局での思い出を話してくれたのは28歳の男性だ。

「地方テレビ局の集団面接を受けたことがあります。面接自体は一般的なものでしたが、一緒になった面接者の中に女子アナ志望の子がいて、かなり浮いてましたね。彼女は地元出身ではなく、とにかく女子アナになるためあちこちの地方局を受けていたそうです。

 今どきの面接には珍しくキャピキャピというかコビコビというか。自己紹介では『今日はこの面接のために前乗りしたんです~。楽しみすぎてしおりまで作っちゃいました~』と手書きの旅行のしおりを見せていたんです。私は内心、『よくやるわ~。女子アナ志望は、なんでもありだな』と横目で見ていましたけど、面接官のおじさんたちが『そうなの~』『すごいねえ~』とニヤニヤしてたのは気持ち悪かったですね。

 私はその局には落ちたので、その後、彼女が受かったかどうかは知りませんが、今のところどこかの女子アナとして名前を聞いたことはないですね」