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 一番嫌だったのは、面接の途中で『じゃあ、マスクを取ってもらえる?』と要求されたこと。一応は、『つけたままじゃ、表情も分からないからさ』といった言い訳めいたことを言ってましたが、容姿を確認しようとしているのがミエミエでした。コロナ禍の真っ最中でしたから、余計に気になりました。合格したからいいんですけどね(笑)」

特に服装の指定はなかったので、無難なパンツスーツで行ったら…

 現在はテレビ関連の制作会社に勤務する26歳の女性は、新卒の際、面接に行った舞台照明会社の面接が謎すぎたと話す。

「当時66歳の社長と二人っきりで面接することになったのですが、会議室のテーブルの上に、他の志望者の履歴書が無造作に並べられていました。狭い会議室だったし、こちらからも丸見えで、内心では『おいおい、個人情報は』と思ったけど、当然口にはしませんでした。

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 特に服装の指定はなかったので無難なパンツスーツで行ったところ、冗談ぽく『スーツで来たんだ。どうせならスカート穿いてこいよ』と言われたり、『ウチは休みないよ』『ブラックだよ』とか言われました。嫌だとは思いましたが、このくらいなら想定の範囲内。面接じたいは45分くらいで、あとは事前に提出していた作文の内容について話を聞かれたりしました。

面接に来なかった志望者に電話を掛けさせる社長

 それでひと通り面接をした後、最後に社長がテーブルに並べられた他の志望者の履歴書を指さして、『実はさ、うちに応募してきてる人の中で、1人連絡がとれない人がいるんだ。僕の携帯じゃ繋がらないから君の携帯からかけてほしい』と言ってきたんです。私の面接中ですよ。仕方なく、言われる通りに私の携帯から電話をかけましたよ。もう『この面接なに?』という戸惑いより、『困ったなあ、電話をかけられる相手の人も困るんじゃない?』としか思いませんでしたね。

 結局、相手は電話に出なかったのですが、社長は追い打ちをかけるように『君か、今電話が繋がらない人のうちの1人は研修中に落とすから』と言ってきた。この募集では同時期に受けた人が6人いて、基本的には全員が採用される前提で、面接の後に研修を受けることになっていたのですが、突然そんなことを言われても、何が何やらですよ。

 社長は最後に、テーブルの上の履歴書を指さして、『あ、それ隅っこにまとめて片付けといてくれる』と指示してきたのにはさすがに驚きました。結果的には6人全員が受かっていましたが、あの面接はいったい何だったのか今でも謎です」