女性としての性を割り当てられて生まれたが、現在は男性として生きる、石川まさきさん(38)。女性のパートナーと結婚し、その後、実兄から精子提供を受けて子どもをもうけ、今や2児の父に。さまざまなセクシュアリティの人たちが集うバーのオーナーとしても活躍しています。
そんなまさきさんが本来の性を取り戻すまでの道のり、トランスジェンダーをめぐる社会の変化などについて聞きました。(全3回の1回目/2回目に続く)
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石川まさきさん(以降、まさき) (赤い目で慌てて部屋に入ってくる)すいません、遅刻しちゃいました。昨日、お店で盛り上がってしまって朝まで営業していまして。
――お店とは、まさきさんが新宿3丁目で営業しているバー「2’s CABIN」のことですよね。さまざまなセクシュアリティの方が訪れるそうで。
まさき 今5歳と2歳の子どもがいるんですけど、昨日店に来てくれたのが、子どもたちが通う保育園のママ友だったんです。僕がFTM(※)のトランスジェンダーだってことをカミングアウトしていない人だったからびっくりして、盛り上がっちゃいました。
※「Female to Male」の略。女性の体で生まれてきたが、男性として生きることを望む人のこと。
「実の兄から精子をもらって子作りしたんです」とママ友に説明
――保育園のお父さんお母さんに自分の性のあり方について話す機会ってなかなかないですよね。
まさき 別のママ友から「いつも送り迎えしている金髪のパパがいるって気になっていて。仕事、何しているんですか?」と聞かれたことがあります(笑)。その時、流れで「LGBTQ+関係のバーをやっていて、自分も当事者なんですよー」とカミングアウトしたことはありますね。
――そのお母さんは、保育園で見かけないタイプのまさきさんが気になっていたんですね。
まさき 聞かずにはいられなかったんでしょうね(笑)。あと、僕は妻のことをいつも「パートナー」って呼んでいるんですけど、「なんでパートナーって言うの?」とたずねてきたママさんにも、いいかなと思って全部カミングアウトしました。「自分はもともと女性で、そこから性別適合手術を受けて男性になり、実の兄から精子をもらって子作りしたんです」と。