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パートナーから提示された「結婚の条件」

――見事なプレゼンですね。

まさき 結婚にあたっては、パートナーから「会社を辞めて独立すること」「離婚届も結婚届と一緒に書くこと」など、4つの条件を出されました。ちょうど店をやりたいと思っていたので会社員じゃなくなることも問題なかったし、離婚届も、今となっては書いておいてよかったなって思います。おかげでほどよい緊張感があり、互いに思いやりを持って接することができていますし。

――パートナーの方に対する絶大な信頼が伝わります。

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まさき 4つの条件を聞いたときも、「なんて芯のある素敵な女性なんだ!」と、余計好きになりましたね。あと、「名字はパートナーの方に合わせる」というのも条件のひとつだったんですけど、「僕、改名は得意だから全然オッケー!」って(笑)。

 

――子作りに関しておふたりはどのように考えていたのでしょう。

まさき 僕が彼女のキャリアを止める権利もないし、結婚前に一度、兄に精子提供のお願いをして断られていたこともあり、子どもはいいかな、と思っていました。

 ただ結婚半年後に彼女の方から、「年齢的なことを考えると今が最後のチャンスかもしれない」と話があり、2人で「精子会議」を始めたんです。

誰から精子をもらうか話し合う「精子会議」

――「精子会議」の議題を詳しく教えてください。

まさき 僕は生殖機能がないので、精子を誰かからもらわないと子どもができません。なので、会議では「身内の提供/第三者の提供/養子/作らない」という選択肢をランキング形式で互いに発表し合っていました(笑)。

 でも心がすごく揺れて、「今日の1位は身内の精子かな」「でも昨日の1位は第三者だったよね」みたいな感じで毎日、2人共ランキングがめちゃくちゃ入れ替わるんです。で、これはもう意味がないとなって、一番手っ取り早い方法を考えたら兄だったという感じです。

 

――一度は断ったお兄さんが精子提供を快諾してくれたのはなぜでしょうか。

まさき 一度目のときは結婚していなかったこともあり、僕の方も覚悟や準備が足りていませんでした。でもそのときは、兄に対してパートナーと一緒にどうやって子作りを進めていくのかなど、具体的なプレゼンをしたんです。それで納得してもらえたのか、1週間後に快諾の返事をもらえました。

――まさきさんのお兄さんから精子提供を受けることに関して、パートナーの方にも葛藤があったのでは。

まさき 悩んでいましたが、最終的には血のつながりがある兄からもらうのが一番だろうと思ったようです。あとは、リアルに兄と会ってフィーリングが合ったことも大きかったと思いますね。