若者がツケを払わされる
「アベノミクスによって株価が上がったじゃないか」と反論する人がいるかもしれません。
もちろん金融緩和をすれば短期的に株価が上がることは明白です。私も日本株に投資しましたよ。日銀が紙幣を刷りまくって、そのお金で日本株や日本国債を買いまくれば、株価が上がる。
2018年、私は日本株を全て手放すと、今度はETF(上場投資信託)を買いました。ETFとは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などの指数に連動する投資信託です。私よりもお金持ちである日銀が「もっとお金を刷ってETFを買う」と宣言するのですから、一緒に買わない理由がありません。ただETFを手放すべき時期も近づいてきたように思えます。
そもそも経済の状況は、株価と切り離して考えるべきなのです。
アベノミクスによる株価の上昇によって日本の人々の生活は豊かになったでしょうか。
株価の上昇と引き換えに、日本円の価値は下がり続けてきました。資源が乏しい日本はあらゆる原材料を輸入に頼っています。コスト上昇から物価は上がり始めていますが、今後、高齢者や若者は深刻な苦しみを味わうことになります。アベノミクスの金融緩和から恩恵を享受したのはほんの一握りのトレーダーや大企業だけなのです。
アベノミクスの第二の矢と呼ばれる財政出動も正気の沙汰ではありません。「日本経済を破綻させる」と宣言したに等しい政策です。先進国で最悪レベルの財政赤字を抱え、国の借金が増え続ける中で、さらに無駄な公共事業に公費を費やすというのですから。
深刻な財政赤字を見てみないふりをする政治家たち。彼らは日本が借金を返す局面で自分はこの世にいないと逃げ切るつもりなのでしょう。そのツケを払うのは日本の若者にほかなりません。