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 岸田政権になっても、こうした大枠の方針は変わっていないようです。いや、ここにきて防衛費を増加させようと、議論が始まっているらしいじゃないですか。私からすれば、借金まみれの状態から国を守る方が先ではないかと思いますが……。このままでは将来ある若者がどんどん海外に出てしまい、日本に留まりたいと思う理由はなくなるでしょう。

人口増が難しければ移民を受け入れる他ない

 そもそも日本社会は、深刻な問題を抱えています。その一つが少子高齢化、つまり人口減です。

新型コロナウイルス対策では厳しい水際対策を行った岸田首相 ©文藝春秋

 2011年から日本の人口は減少に転じました。日本は、出生率が世界で最も低い国のひとつであり、国民年齢の中央値が世界で最も高い。この数字を冷静に分析すると、このままでは21世紀の終わりを待たずして日本の人口は半分になります。

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 人口減少は経済にとって致命的なリスクです。労働力の減少だけでなく、国内需要の減少という側面から考えても、日本経済に深刻なダメージを与えます。

 また税金や社会保障費を負担する人の数も減少する。一方で、高齢化が進み、政府債務もロケット花火のような急上昇を遂げています。国の借金は6年連続で最高額を更新し続け、2022年3月末には過去最大の1241兆円となりました。新生児から後期高齢者まで、国民1人当たりの借金は1000万円を突破しました。

親日家として知られ、来日経験も豊富なジム・ロジャーズ氏

 現在の日本の人口を維持するには、女性1人あたり2.1人の子供を生む必要があるとされています。日本政府もあの手この手で子作りへのインセンティブを高めようとしていますが、うまくいきません。

 自然な人口増が難しければ、外国から移民を受け入れる他にない。ところが、日本国民、政府は移民の受け入れに及び腰です。

 本来であれば、生活水準の低下を受け入れるしかないのですが、今の日本は、将来の若者から借金しながら生活水準を維持している状況です。しかしこれは持続可能な社会とは呼べません。

ジム・ロジャーズ氏による「日本経済SOS  最後のチャンスを逃すな」全文は、月刊「文藝春秋」2022年10月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。

文藝春秋

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「最後のチャンスを逃すな」このままでは日本経済は破綻する