「身体検査が甘すぎた」批判の矛先は…
内閣改造後、閣僚や党幹部に旧統一教会との関係が次々発覚し、内閣支持率が低下する岸田政権。その批判の矛先は栗生俊一官房副長官(昭和56年、警察庁)に向いている。警察出身にもかかわらず、「身体検査が甘すぎた」(自民党三役経験者)というのだ。
官邸の要であるはずの栗生氏だが、霞が関における評判もよろしくない。
栗生氏は各省庁の事務次官や局長らと打ち合わせする際、携帯電話を部屋の入口で預かることがあるという。録音を警戒するためだが、「相談や打ち合わせに来た次官たちが信用されていないと感じ、心を閉ざす」(官邸筋)。
官房副長官は各省庁の事務次官の相談相手でもある。重要な人事を決める時には、内閣人事局長でもある副長官とすり合わせることは、前任の杉田和博氏(41年)からの引継ぎ事項だが、栗生氏の就任時から次のような声が上がっていた。
「各省庁の次官よりはるかに歳上の杉田氏は人柄に温かみがあり、どんな問題でも遠慮なく相談できた。年次が近い栗生氏は次官たちとの人間関係をつくるのに苦労するだろう」(次官経験者)
省庁サイドからすれば、重要人事で岸田首相の意向を探るルートは栗生氏だけではない。「栗生氏に逆らえば、人事で嫌がらせをされるため、今は言うことを聞いているだけ」(同)という見方もある。
このまま栗生氏が自らの流儀に固執すれば、交代時期も早まるかもしれない。
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「霞が関コンフィデンシャル」の全文は、「文藝春秋」2022年10月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています。
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