「発見された1頭目の子鹿の死体は胴体のほとんどを食べられ、他にも足をかじられたり太もも部分も骨が露出している無惨な状態でした。ここ1カ月で3頭も鹿が野犬に襲われており、もし人間が噛まれれば大惨事になりかねません。狂犬病の恐れもあるので、見回りや注意喚起をしております」(釧路市役所担当者)
“霧の街”釧路が野犬騒動で揺れている。8月から9月にかけて野犬の集団が野生のエゾジカを噛み殺す事件が立て続けに発生し、次は人間が襲われるのでは、と不安が高まっている。野犬が何度も目撃されている「釧路大規模運動公園」は、釧路の住宅街から100mも離れておらず、幼稚園や小学校も近くにある。スポーツ施設や遊歩道などがあり、散歩やジョギングをする人たちで賑わう市民の憩いの場だ。前出の市役所担当者が語る。
「後ろ足の太ももの骨が露出していました」
「最初に鹿の死体が発見されたのは8月9日。公園から西に2キロほど離れた場所で、複数の野犬が小さな子鹿を襲う様子が近くの防犯カメラに映っていました。2週間後の8月24日には公園に隣接する幼稚園の園庭で鹿の死骸が見つかり、さらに9月2日には公園内の緑地でも鹿が死んでいました。野犬に襲われたのはいずれも子鹿で、1頭目は体のほとんどを食べられてしまった状態で、2頭目は足をかじられていました。3頭目は市民の通報で警察が駆けつけたので野犬は逃げ去りましたが、後ろ足の太もも部分を噛まれて骨が露出していました」
鹿は普段は住宅街の反対側に広がる湿原や林で生活し、日中は公園に入ってくることは少ない。しかし夜になると公園の草を食べに頻繁に現れるという。
「公園は23時に出入り口が施錠され、朝5時までは無人になります。その時間は鹿が活発に行動する時間でもあり、湿原の方から出てきて公園で草を食べていることも多い。それを狙って野犬も夜に公園に現れるようです。まだ人間に被害は出ていませんが、公園にはアスレチックや滑り台など子供が遊ぶ場所も多いので、各施設に張り紙をしたり利用者に声をかけて注意喚起を促しています」(公園管理事務所スタッフ)