文春オンライン

2022/10/16

10年後には絵画館まで飛んでいるホームラン

 この光景、何度も何度も何年も何年も、楽しい思い出として蘇ってくるのですが、どうも最近、記憶の中の着弾点が伸びて行っているように思うのです。なんなら次に思い出すときは、きっと場外まで飛んでいるし、10年後にはたぶん絵画館まで飛んでいる。

 でも、それでよいのだろうな、と思います。

 記憶の中では、若松勉監督は2001年優勝時の胴上げで4回転半くらいしているし、千葉マリンスタジアム第1号HRである荒井幸雄選手のランニングホームランは塁間3秒で走っている。

 もっと昔からのファンは、きっと夢の中で大杉勝男選手の両リーグ200号は達成させているし、日本シリーズでいうなら岡林洋一投手は3試合完投30イニング430球投げているし、山田哲人選手の3連発もスタンド越えて打球は場外まで飛んでいるし、去年のほっともっとフィールド神戸はマイナス20度くらいで試合している。(1つだけ事実が入っております)

 もちろん動画を見たりして調べれば事実はわかるのですが、記憶の中ではそうやって楽しむのもいいと思います。

ようこそ! こちらの世界へ!

 昔のことばかり言いやがって! 知らないよそんなこと! と思う若い方や、近年ファンになられた方も多いと思います。そんな方にぜひ言いたい。

「ようこそ! こちらの世界へ!」

 皆さんは、スワローズファンでいる限り、ここから見た記憶を育てることができます。

 村上宗隆選手の最終戦の56号の動画だって、冒頭の動画を見れば到達点はわかるけど、記憶の中では今後伸びていくかもしれない。

村上宗隆は10億の家を貰って場外弾を連発、石川雅規は300勝

 想像してみてください。

 たとえば30年後……記憶の中の村上選手は10億の家を貰って場外弾を連発しているし、山田選手はトリプルスリーを10回くらい達成しているし、石川雅規投手は300勝を達成しているし、田口麗斗投手は生え抜き選手として毎試合球場を盛り上げている。

 球場でそんな話をファン同士で笑ってしながら、村上監督と先発の石川投手を見ているかもしれない。

 球場というのは、15cmくらいの球体を山手線の倍くらいの速度で投げる超人がいて、それを木の棒で打ち返して160m飛ばす超人がいる。

 そんな非日常の空間だからこそ、そしてそこが熱狂であれば熱狂であるほど、記憶は美しく脳内で再生され続け、育っていくのだと思います。

 日本シリーズはその頂点の舞台――。

 まずは楽しみましょう。思い出して楽しみましょう。そのことを話して楽しみましょう。話すことで、記憶は育っていきます。

 記憶して、育てて、何度も何度も楽しみましょう。

今年の日本シリーズ、何が起こるのか? 想像して楽しもう

 今年の日本シリーズ、何が起こるのか。村上選手の6打席連続ホームラン? ライアン小川投手の完全試合? 塩見泰隆選手、念願のMVP? そしてその記憶がどう育っていくのか。今からワクワクが止まらない!

 今から、想像と妄想を働かせることで、記憶を育てる土壌を耕しましょう。

 さあ、準備はいいですか?

 記憶の中で育つ種を選手からたくさんもらえるように、日本シリーズも応援よろしくお願いいたします!

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