ベイスターズにとって、激動の2022年シーズンが幕を閉じた。チームはこれから、フェニックスリーグや秋季キャンプを経て、オフシーズンへと向かっていく。選手たちは、きっともう来シーズンに向けてレベルアップをはかっていることだろう。思い返すと、私が(独立リーグ時代を含めて)まだ現役だった頃、この時期になると「よし、来年はもっといいパフォーマンスができるように、しっかり鍛えてこよう」と思ったものである。進化のための長い旅に出るんだ、そんな風にワクワクした気持ちになったことも懐かしい。ただ、私はもう現役の選手ではなく、特にオフシーズンなどといったものもない。観る側になって数年経ち、もちろん毎年ベイスターズの試合や動向は気にかけていた。

 その中で、特に今年のベイスターズは例年よりもかっこよく見えた。

 今年のベイスターズから私はたくさんのことを教えてもらったように思う。今回は私がベイスターズに教えてもらった、思い出させてもらった大切なことを、今年のベイスターズの動向を辿りながら書き綴って行こうと思う。

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期待されるということ

 シーズン序盤、ベイスターズは借金生活を余儀なくされていた。週末になかなか勝てないこともあり、普段は優しいベイスターズのファンではあるが、徐々に厳しい声をあげるファンが増えていたように思う。ただ、これは当然、結果を強く求められるプロ野球の世界では仕方のないことである。仕方はないのだが、私は「あんまり厳しいことは言ってほしくないけど、まあ結果の世界だし、仕方ないか、いや、でもあんまり……」みたいな考えになっていた。ただ、そんな状況でも、ベイスターズを応援している人や、チームにああだこうだいう人の数は減らなかったように思う。

 私は考えた。どうでもいい人や物なら気にもかけないし、ましてや意見するなんて、よっぽど期待されているってことなのかな、と。私はモロサーになり、年々私に意見してくれる人は少なくなってきている。それはもちろん、私が大人になって常識を少しずつ身につけているという事もあるのだろうが、もしかすると私に対する期待が減っているのかもしれない。いずれにせよ期待されるという事は、注目されるという事。その対象の一挙手一投足が見るものを楽しませるし、がっかりもさせる。そしてその中で結果を出すことの難しさ。ただ、それがあるから頑張れるし、本気になれる。私は私に期待して、自分に鞭を打っていこうと思えた。「最近たるんでない?」と聞かれたような気がしたシーズン序盤であった。

土砂降りの中走り出すということ

 なかなか借金生活から抜け出せないベイスターズは、ついに最下位を経験してしまう。6月のことである。シーズンの折り返し付近での最下位である。私は正直、今年に関してはCS出場は叶わないかもしれないな、と思ってしまっていた。この記事を読んでいるそこのあなたも、きっと心のどこかでそう思ったことでしょう。しかし、蓋を開ければ最終的に2位でのCS出場である。これに関しては、選手やコーチをはじめ、ベイスターズの皆さんが土砂降りの中走り続けたからこそ得られた結果だと思う。もちろん、環境的に雨が止むのを待っている暇はないのだけれど、それでも、時間の流れに身を任せるでもなく、諦めてしまう訳でもなく、とにかく走り続けた結果だと思う。

 よく『止まない雨はない』とか『明けない夜はない』とか、そんな心地よい言葉を聞いたりするが、私は土砂降りだろうが真夜中だろうが走り出す、そういう生き方が好きだ。夜を駆けることの気持ちよさを知れるかもしれないし、雨に打たれて感じることがあるかもしれない。最近の私に少し欠けていたなにかを思い出させてくれたように思う。