「適当な焼き鳥屋で1人2万円かかった」
米国では朝食やファストフードでもこれほど高額を支払うことになるので、夕食ならばなおさらです。ニューヨークでは、「ふらっと立ち寄った適当な焼き鳥屋で1人2万円程度かかった」という声も聞きました。
また、高額なのは食事だけでなくホテルの宿泊代も同様。マンハッタンのホテルは超高額です。シンガポールから旅行をした日本人駐在員がこんなことをぼやいていました。
「3つ星のビジネスホテルでも1泊3万~4万円かかった。日本だったら7000円くらいで泊まれるレベルなのに」
なぜこんなに物価が高くなってしまったのでしょうか。いま、米国では平均時給が約32ドル(日本円で約4640円)でも働き手が見つからず、労働者不足を起こしています。ニューヨークでスーパーの惣菜を作る料理人に年収1000万円を支払うと言っても人が来ないという報道が日本でも話題になっていましたが、海外では日本と違って、企業がコスト上昇分をすぐに価格に転嫁するので、物価が上がりやすいのです。
シンガポールでも観光客向けレストランは強気価格
このような状況はニューヨークだけで起きているわけではありません。筆者が生活しているシンガポールでも観光客向けのレストランでは、“コロナ明け”の最近になって対応が様変わりしています。予約の際には1人あたり最低2万円以上を支払うことを前提に、カード認証をしないと予約ができないといった店が増えているのです。しかも、90分制などの枠が決められていて、食事の途中で追い出されるなど、ゆっくりできずに散々な思いをしたことがあります。
日本食の値段も高く、一風堂のラーメンは1700円前後です。それでもいつも多くの客で賑わっています。日本のお寿司屋さんもたくさんありますが、高級店の場合はランチで1万円以内のメニューを探すのが難しいです。それでも、シンガポール在住の人が押し寄せて、なかなか予約が取れないのです。
一方で、地元の人が行く中華料理店やホーカーズ(清潔な屋台のような店)では、日本並みの価格で地元料理を味わうことができます。一般的にどの国も地元民がもっとも価格やクオリティーにうるさいので、ローカルフードを楽しむことを目指して旅すれば、インフレの影響を受けにくいでしょう。シンガポールの場合は治安も良いので、安心して過ごせます。