「友達を誘ってラーメンを食べて、そこにゆで卵を1つトッピングする。ラーメン2杯とトッピング2つで、会計が5000円を超えます」
2017年、ニューヨーク移住したことで話題を呼んだピースの綾部祐二さん。アメリカに5年間住んでわかった「驚きの物価事情」とは? 綾部さんによる初エッセイ集『HI, HOW ARE YOU?』より一部抜粋してお届けする(全2回の1回目/後編を読む)
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日本とアメリカの環境の差
こちらに来て、いわゆるカルチャーギャップというのはあまり感じないんですが、当然、細かい環境の違いというのはあります。
笑ったのが、こちらの人はスーパーのレジで並んでいる間に、商品を食べたり、飲んでしまったりすることです。レジまで来たら、空の容器をピッとやって、あとはそれをポイッとゴミ箱に捨てる。
量り売りのブドウを子供に食べさせたりもして、それだと会計が変わってくるだろうと思うんですけど、とくに店員が注意することもないんですね。
ちなみにぼくの食事は8割ぐらい自炊です。自炊といっても、焼きソバや生姜焼きをつくったり、鍋やカレーをつくり置きするぐらいですけど。
こちらに5年間いて、ウーバーイーツのような宅配サービスを利用したことは一度もありません。
スマホだけで済んでしまうのは便利ですけど、少しでも英語を使いたい身からすると、それではもったいないんですね。
できるだけスーパーや商店に行って、「これ、ちょうだい」「これはどういう食材なの?」といったやりとりをするようにしています。
カフェでパンとアップルジュースを頼んだら、「ジュース」の発音が通じていなくて、パンと本物のリンゴが袋に入っていた、なんてことはしょっちゅうです。こちらでは「カフェラテ」のことは「ラテ」と言うのに、それを知らなくて、何度も「カフェラテ」と注文して、しばらく不思議な顔をされたこともあります。
仕事に対する感覚はかなり違いますね。
日本で言う「勤務態度」のレベルが低いというか、そんな概念すらないのではないかと思うこともしばしばです。
スーパーマーケットで、レジの店員がイヤホンで音楽を聴いてたり、誰かと通話しているなんていうのは普通の光景です。バスの運転手が運転中にほかの車に向かって、いわゆるFワードを浴びせたり。日本で「てめえ! この野郎!」なんて怒鳴り散らしてるバスの運転手、見たことないですよね。