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数えるとたしかに25人…誰なのか?
「あれ? と思いました。だって、名簿の名前は全員知っているのに、目の前には知らない子がいる」
数えるとたしかに25人。
では、誰なのか?
もう一度名簿をなぞっていくが、そのときは理解できている。たしかに、この子たちだ。
だが、25人の中にひとりだけ知らない人物がいる。
「混乱したんですけどね。でも、それで休講にしちゃクレームがくる。だから、そのときはできるだけ気にしないようにして授業を進めました」
要は、問題を解かせるときは、名前を呼ばずに『じゃあ、キミ』と指せばいいのだ。
Sさんは一応上司に報告をした。だが、まともに取り合ってもらえなかったそうだ。
また、別の日。
「当時、銀行振り込みではありませんでした、授業料。だから、ひとりひとり親御さんから封筒を預かってきていて、こっちで領収書を切るんです」
たしかに25人分のお金を保管したはずだった。
授業がすべて終わって、生徒が帰っていく。
全員を見送ってから、その日の集計をするのだが、おかしい。
たしかに、受け取った封筒は25封。手元にあるのが、それだ。
しかし、金額が24人分でひとり足りない。
領収書の控えを確認すると、25人分。
順番に名前を確認していくが、全員名簿と照らし合わせて確認が取れている。
しかし、ひとり分足りない。
記憶では、すべて受け取ったはずなのに。