「加藤君、ドラフトにかければ面白いかなと思って。足も速いらしいし、根性もあるみたい」

 8月上旬、日本ハムの新庄剛志監督のある発言が米球界関係者の間で波紋を呼んだ。メッツ傘下のマイナー、3Aシラキュースの加藤豪将(27)のドラフト指名に興味を示したからだ。

 この新庄発言に、米大手マネジメント会社の代理人はあきれ気味に語る。

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「新庄監督の言葉は明らかにアウト。他球団に所属する選手の獲得に前向きだと表明している。メジャーの球団が、例えば千賀(滉大=ソフトバンク)らに対し、こういう言い方をすることはあり得ない。新庄監督はキャラクターで許されているのか」

加藤豪将 ©時事通信社

メジャー初昇格で念願が叶ったからか、NPB移籍に前向きに

 日本ハムではその後、8月下旬に行われたスカウト会議で稲葉篤紀ゼネラルマネージャー(GM)が新庄監督を咎めるどころか「ボスが気になっているので、どうするかを考えないといけない」と検討する方針を示して呼応した。

 同球団では04年にマイケル中村投手、07年には多田野数人投手とNPB未経験の日本人大リーガーを、ドラフト会議で指名した実績がある。

 昨季まで監督を務め、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表の栗山英樹監督が8月にMLB視察から帰国した時、加藤を念頭に置いたかのように「日本の絡みがある選手、思い切り探してます。冗談じゃなくて。アメリカじゃなかったら日本で出るという空気を感じた」とコメントしたのは偶然だったのだろうか。

 10月20日のドラフト会議を前に多田野以来、15年ぶりに日本人大リーガーが「逆輸入」されるかどうかが、にわかに焦点として浮上してきている。

 NPBではかねて複数の球団が加藤を調査していた。前出の代理人によると、コロナ禍以前は加藤にNPBでプレーする意思がなかったものの、気持ちは変化したという。

「コロナ禍でマイナーは2020年に全試合が休止になった。加藤はメジャー昇格をアピールしたくても、その場がないというつらい経験をし、今季ようやくメジャー初昇格した。念願が叶ったからか、NPB移籍に前向きになったと見られている。年齢的にもアメリカでマイナー暮らしが続くならトップレベルでできる日本行きも考える時期で、機は熟している」