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碇の人間関係を“分断” 夫の浮気まで捏造

 スリムで元「モーニング娘。」の保田圭似の美人だった碇と、巨体で年齢も本名も偽っていた赤堀。一見アンバランスな2人は、急速に親密さを増していった。

「声をかけたのは碇さんだったようです。友人が少なそうな赤堀を気遣って。お人好しの彼女には、赤堀の本性を見抜くことができなかった」(ママ友の一人)

 身の回りで絶えず金銭トラブルを起こしてきた赤堀は、相手を騙すことに全く抵抗がない女だった。「ママ友が悪口を言っている」「親族が裏切っている」などと唆(そそのか)し、碇の人間関係をことごとく分断。さらに夫の浮気も捏造し、「児童手当がもらえるから養育費はいらない」と焚き付けて19年5月に離婚させた。当初は対等だった2人の間柄も、道端で一方的に赤堀が碇を罵倒するまでに。

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「やがて赤堀は『しつけ』と称して翔士郎ちゃんを叩いたり、押し入れに閉じ込めるようになり、その間、碇は家から出され、外で泣いていた」(捜査関係者)

死亡した翔士郎ちゃん(左)と碇

 碇は一軒家に1人で暮らす元夫や、母子を案じる母親ら親族を頼ることもできず、困窮を極めていく。

 翔士郎ちゃんは亡くなる直前、栄養が足りずにふらついて歩けなくなる。碇は赤堀に「翔ちゃんの体調が悪い」と何度も訴えたが、赤堀は「仮病や」「寝れば治る」と取り合わず、病院にも行かせなかった。

「碇はありもしない“ボスのグループ”に12台のカメラで監視されていると信じ込み、三男が餓死した際は本人も体重30キロ台まで痩せ細っていた」(同前)

 生活保護費など月約20万円の収入を赤堀に管理されていた碇は、翔士郎ちゃんの死後も搾取された。

「小5の長男と小3の次男は児相を経て元夫側に引き取られたが、赤堀は『2人を取り戻すために裁判費用がいる』と言い、12万円を騙し取っている」(同前)

 悲劇の約2カ月後。警察から赤堀の嘘を1つ1つ知らされた碇は、「許せない」と怒りを顕わにした。同時に、自責の念と根深い“後遺症”にも苛まれる。

「洗脳が解けてなお、『頭では分かっていても、今でも監視されている感覚が消えない』と話している。逮捕前も街で人のスマホがこちらを向いていたら、誰かの手先から撮られているのではと怯えていた」(同前)

 全てを失った孤独な母は、苦しみながら裁かれる日を待つ。