『ああっ女神さまっ』のベルダンディー役や、キャメロン・ディアスの吹き替えなど多彩な役を演じてきた声優の井上喜久子さんですが、実は「コスプレ好き」の一面も。
ときには娘・井上ほの花さんの学生服を着てしまうほどコスプレに夢中になってしまう理由とは? 初の自叙伝『井上喜久子17才です「おいおい!」』より一部抜粋してお届けする。(全3回の2回目/#1、#3を読む)
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初めてのコスプレはかすみお姉ちゃん
“井上喜久子2号”になって「明るいほうに行く。楽しいことだけ選んでいこう」と決めてから、大好きになったのがコスプレです。自分の演じたキャラクターはもちろん、ほかの人がやったキャラクターまで、ありとあらゆるコスプレをしてきました。
初めてそれっぽいことをしたのは、『らんま1/2』のイベントでした。イベントに出ること自体、ほぼ初めてだったかな。かすみお姉ちゃんと同じロングのスカートに白いエプロンを着て、髪も右肩に流す髪型にしてリボンを付けて出たんです。今でいう“再現率”は全然高くなかったと思いますけど、皆さんがすごく喜んでくれて。それがうれしくて、コスプレに興味を持ちました。
それから、『おたくのビデオ』というガイナックスさんのOVAのイベントを大阪でやった時、ミスティー・メイというバニーガールのキャラクターのコスプレをやってしまいました。自分が演じた役ではなかったのに(笑)。
前日から泊まって、監督さんやキャストでご飯を食べていた時、「実はミスティー・メイの衣装があって」「喜久子ちゃんが着る?」という話になって。冗談っぽく聞かれたので、「いえいえ」と断っていたのですが「これくらい着られなかったら役者じゃないよ」みたいな流れに。
それで多分スイッチが入って、「私、着ます!」と言ってしまったんです(笑)。でも、あの時はまだ“井上喜久子2号〞になっていなかったから、すごく恥ずかしかった。「しまった! なんでこんなことをやってしまったんだろう?」と後から思ったけど、それも良い思い出ですね。
そのあと2号になってからは、楽しんでコスプレをたくさんするようになって。CLAMP先生の『ちょびっツ』で、私はアパートの管理人の日比谷さんの役だったのに、ヒロインのちぃちゃんになったり。
『CLANNAD』ではヒロインの渚ちゃんのお母さんの役だったのに、女子高生の渚ちゃんの制服を着たり……。とんでもなかったですね(笑)。