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「バットが届くところは全部ストライクと思ってる」“天才”広島・西川龍馬の真髄に触れた日

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/10/01
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粋なことをよくサラッとしてくれる男

 そんな龍馬ですが、ここで性格にも少し触れてみたい。

 一見クールで、ヒットを打ってもあまり感情を表に出さない彼ですが、「今日もうごはん食べたー?」とか、「暇人さんなにしてんのー?」とか、食事の誘い方はいつもちょっと可愛い感じだったりもする。

 そして、彼は粋なことをよくサラッとしてくれる男。

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 ある日、お気に入りの腕時計が壊れてしまい少し落ち込んでいた僕を見て、数日後に初登板のお祝いとして、手書きで「初勝利おめでとう」と書いた紙袋をこっそり部屋のドアノブに掛けて、壊れた腕時計と同じ腕時計をプレゼントしてくれた。

 また、地方の野球場に応援に来てくれている小学生たちにバスからお菓子を配って、お菓子が大好きだった龍馬が自分で食べる分までも配ってしまっていたのに、とても嬉しそうな顔をしていた。その表情を隣の席から見ていて、龍馬はこうやって誰かを喜ばせることが本当に好きなんだなと思ったのを覚えている。

 だからこそ、野球でも龍馬はファンのみんなを喜ばせようと頑張っているように見える。

 

 クールなプレースタイルから、時おり見せるガッツ溢れるプレーやチームメイトへの人懐っこい姿にギャップを感じて龍馬の虜になった人たちも少なくないだろう。

 そんな西川龍馬はまだまだ発展途上。ケガに悩まされたりもしてきたが、1年間を通して彼の実力を発揮できた年は、僕はまだないと思っている。

 そして、しっかりやり切れたときには、なにか偉業を成し遂げるのではないかと期待を抱いてしまう。

 今後も彼のワンプレーワンプレーに一喜一憂させてもらおうと思う。

 そして……

 今誰しもが気になるところ。

 国内FA。

 こればっかりはなんと言っても本人の人生。どうなるかは本人のみぞ知るというところで、本人が選ぶ幸せを共に願いたいと思う。

 西川龍馬という野球人が、この先どのような野球人生を歩んでいくのか。

 天才・西川龍馬の今後に目が離せない。

◆ ◆ ◆

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